14: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:11:12.98 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
巡る季節は、温度を連れ去っていく。暑かったこの間までとは打って変わって、少し肌寒い。秋の温度だった。
アラームよりも先に目が覚めた。私はベッドから起きて、体を伸ばす。筋肉痛も、体のだるさもなかった。久方ぶりの、心地良い目覚め。
カーテンを開ける。空はまだ白色。夏なら既に真っ青の時間だろうに。
ベッドの縁に置いていたスマホが震えた。聞き慣れた着信音だった。
『おはよ』
「おはようございまス、プロデューサー」
手にとって出ると、やっぱり聞き慣れた声。こんな時間に電話をしてくるなんて、やっぱり彼も早めに起きてしまったのだろうか。同じように、アラームが鳴るよりも先に
『よく眠れた? 体調とか大丈夫?』
「心配しなくても、いつもよりぐっすりと眠れましたよ」
寝付けないんじゃ、って思ったけれど、そんな心配なんてどこへやら、不思議と快眠だった。……目が覚めるのが、いつもより早かったけれど
『……そっか、安心した……うん、いよいよ今日だね』
「……っスね、はい、今日っス」
空に朝日が昇りだした。窓の側だと、冷たい空気が足下へ漂ってくる。
「絶対に成功させましょうね!」
『……ああ』
窓を開けると、澄んだ空気が部屋の中に入り込んできた。冷たくて、透明な、秋の空気。
『それじゃ、会場で』
「はい、ではまた」
電話を切って、置いて、窓を閉めた。深呼吸をして、「よし!」と気合いを入れる。忘れた頃にアラームが鳴った。締まらないなぁ、いつものように
終わりの朝ってこんな雰囲気なんだな、と心のどこかで思った。清々しい雰囲気だった
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