15: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:12:01.12 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
あまりに早く起きすぎたから、電話をかけてしまった。電話越しの声は、いつも以上にいつも通りで、安心した
16: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:12:35.62 ID:TYKVB7XU0
会場は満員。照明はまだ落としてないけれど、僕の目には、緑色のペンライトが多いように見えた。いつものジャージの色が、いつもよりも多い。舞台袖からそれを確認してから、比奈の控え室へ向かった。
扉を開けると、椅子に座りヘッドホンで音楽を聴いている比奈がいた。煌びやかな衣装とパイプ椅子は、あまり似合わなかった。衣装は最高に似合っているけど
17: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:13:35.65 ID:TYKVB7XU0
◆◇◆
真っ暗な会場の、白いステージの上。私達はそこに立つ。
18: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:14:13.46 ID:TYKVB7XU0
照されるステージ。後ろから響くメロディ。ステップの度に鳴る地面。振られて残像を作るペンライト。
一曲目の、この五分間。レッスンで培ったもの、今までに積み上げたものを、この五分間でぶつけるんだ
19: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:14:40.70 ID:TYKVB7XU0
「春菜ちゃん!」
「……比奈さん」
20: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:15:08.57 ID:TYKVB7XU0
春菜ちゃんが、「一番合うメガネを用意させて欲しい」と言ったのがきっかけ。ライブで一緒にメガネをかけて立ちたいと、彼女は望んでいた。私達は、いつからかそれが約束事のようになった
一緒のステージに立つ機会が中々無くて、約束を果たすのが最後のライブになっちゃったけど
21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:15:36.67 ID:TYKVB7XU0
『うっ……ぐずっ……』
『ひっ……ひゅぅう……うう……』
22: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:16:32.21 ID:TYKVB7XU0
腕を外して、二人は私の肩をたたいて舞台袖へハケる。二人の熱がまだ残っている。
『あー……その、これが最後の曲っス』
23: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:17:17.80 ID:TYKVB7XU0
歌い始める。緑色、私をイメージした色のペンライトが、大きく、ゆっくりと揺れていく
『always』の歌詞とメロディが、私の中の全部を、緑色の麓まで運んでいく
24: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:18:06.39 ID:TYKVB7XU0
―――
――
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25: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:18:39.54 ID:TYKVB7XU0
宴もたけなわ、そろそろお開き。結局、この間に彼と話すことは出来なかった。
奈緒ちゃんのプロデューサーが泥酔している人たちのためにタクシーを呼んでいる。大変だなあの人も
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