25: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:18:39.54 ID:TYKVB7XU0
宴もたけなわ、そろそろお開き。結局、この間に彼と話すことは出来なかった。
奈緒ちゃんのプロデューサーが泥酔している人たちのためにタクシーを呼んでいる。大変だなあの人も
「比奈」
声に反応して振り返る。さっきまで遠くにいたはずの彼が、目の前にいた
「先輩が『最後の仕事だ〜送ってけぇ〜家に帰るまでがイドルだぁ〜』って、なんか酔った感じで僕に言ってきてね」
「モノマネ上手いっスね」
「まぁあの人とも長いつきあいだし……さぁ、僕の最後の仕事だ、行こう」
「……仕事にされるとちょっといやっスねぇ」
「先輩に言われなくても送っていくつもりだったよ」
わざと拗ねたように言ってみた。普段は言わないけど、酔った勢いと、まあ無礼講と言うことで。すぐに返されたけど。きっとわざと言ったこともバレてるだろうけど
「行こっか」
彼の後を歩く。外に出ると、街が立てる生活の音と、秋の夜の冷たさが体を包む。吐く息はまだ白くない
空は底が抜けたように高く、新月なのか月の明かりはない。代わりに、星空が広がっていた。
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