荒木比奈のジュブナイル
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9: ◆U.8lOt6xMsuG[sage]
2018/10/19(金) 00:07:38.38 ID:TYKVB7XU0

「……奈緒ちゃん、Pさんがね、アタシの最後の仕事をライブにしたんスよ」

「……」

昨日話した、半年後の話。10月の下旬に、ちょうど事務所のライブがある。私達は、それを最後の場にすることに決めた。どっちが言い出したか分からないけど、自然にそう決まった。

「だからね、スケジュールの調整とか、厳しいところがあるかも知れないっスけど」

「やる」

早かった。レッスン量が増えたり、生活の時間が制限されたり、そういうこともあるのに、奈緒ちゃんは一切それを考えずに即答してくれた

「やる。言ったばっかりじゃん。応援するって……それに、比奈さんの最後のステージに、一緒に立てないなんて、あたしはそんなのいやだ」

「奈緒ちゃん……ありがとうございまス」

握りあった手は、更に固く結びあう。奈緒ちゃんの中にある強さを、一緒にもらえたような気分になった

「比奈ちゃん!!」

デジャヴ。バタンと、乱暴にドアが開く音。

「「菜々さん」」

手をほどいて、私と奈緒ちゃんは音の方へ視線を変えて、それからハモった。

「やめ、やめるって、ゼェ、ゼェ……」

「菜々さ、一旦、一旦落ち着いて、ちょっと」

菜々さんは走ってきたのか、汗をかき息を切らしている。それを奈緒ちゃんが落ち着かせている。

クスッと、笑ってしまった。




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