31:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 16:13:18.87 ID:YwSoJMOz0
-1階・インフォメーションカウンター付近-
まこ達のところを離れて五分ほどで約束の場所に着く。そこにはオロオロと周りを見渡す少女が立っていた。決して低くはない体躯のわりに小動物然として見えるのはその挙動のせいなんだろう。見まごうわけもない、咲だ。
「おまたせ、咲」
32:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 16:15:12.60 ID:YwSoJMOz0
「まぁなんにしてもこれで真っ直ぐ戻れるわね。そうだ!須賀くんお手製のクッキー、何枚か残しといてもらってるのよ」
「京ちゃんのですか?やった!」
「須賀くん、もう咲にも女子力で勝ってるんじゃないかしら?このインハイ中結構調理場借りてたみたいだし」
33:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 16:55:20.49 ID:YwSoJMOz0
清澄陣営に戻ると、須賀くんとまこ、二人の尖兵が既に戻っていた。
「意外と早かったのね二人とも。はいまこ、これ傘ね」
「お、あったんか。よかったわ」
34:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 16:56:44.85 ID:YwSoJMOz0
「いや、OGが差し入れ持ってきてたみたいですね」
「OGが?」
「はい、結構な量のパンケーキを、手作りだったみたいです」
35:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:03:19.05 ID:YwSoJMOz0
「にしても、そっか。お姉ちゃんは今もお菓子好きなんですね」
「みたいじゃのう、お姉さんは小さい頃からお菓子好きだったんか?」
「はい、よく賭け麻雀でオヤツの量多い方取られてました。あはは……」
36:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:05:27.54 ID:YwSoJMOz0
「……さあ、駄弁るのもそろそろおしまい。そういうことなら須賀くんの自信作は私と咲で頂いていくわ。一旦お開きにしましょ」
「あれ、お開きっすか。 一回みんなで宿に戻るんじゃ?」
「そのつもりだったんだけどね。他の学校もぼちぼち解散だろうし、お目当ての人がいるなら一回戻るより会場にいるであろう今のほうがいい。でしょ優希、和」
37:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:06:22.91 ID:YwSoJMOz0
適当にお茶を濁すのは簡単だけど避けたいのは、まこや須賀くんが「宿に戻る」という選択をすることだ。なんせお目当ての方向が一緒になってしまう。ならば、背に腹は変えられない。
「さっき、まこといるときに記者の西田さんに会ってね。なんでも咲にもうちょっと話を聞きたいらしいのよ」
まこが怪訝そうにこちらを一瞥する。が、すぐに素に戻る。
38:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:16:33.42 ID:YwSoJMOz0
待ち合い室を出て、二階に降りたあたりで咲が訊ねてくる。
「それで部長。その、記者さんと会うのってどのくらいの時間なんですか?」
WhenとWhereより先にHowとは。
39:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:18:41.97 ID:YwSoJMOz0
会場の外に出るとすぐ、右手側50mほどのところにお目当ての制服は目に入った。白糸台高校、その生徒とおぼしき人達が20人ほど、思い思いに雑談をしながら散在している。そして、散々ビデオで観たからだろう。すぐさまその集団の中に、見覚えのある顔を見つける。
モデルのような長身に青がかった長髪、加えてその目付きの鋭さだ。あとは制服を黒にでも染め上げれば、彼女を知らない人はいわゆる不良と思いかねない。
白糸台部長弘世菫。もっとも、この会場で彼女を知らない人は片手で数えれる程度しかいないだろうけれど。
40:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 17:20:49.32 ID:YwSoJMOz0
咲から切り出したいかもと思って少し間を空けるが、私の影に隠れたままなので言葉を続ける。
「宮永照に会いたいんだけど、今って外してる?」
「照に? ……ああ」
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