31:名無しNIPPER[sage]
2018/07/27(金) 16:13:18.87 ID:YwSoJMOz0
-1階・インフォメーションカウンター付近-
まこ達のところを離れて五分ほどで約束の場所に着く。そこにはオロオロと周りを見渡す少女が立っていた。決して低くはない体躯のわりに小動物然として見えるのはその挙動のせいなんだろう。見まごうわけもない、咲だ。
「おまたせ、咲」
「あ、部長!よかった」
喜から一転、咲の顔が哀色になる。
「すいません、また手間とらせてしまって……」
「あらいいのよ、日常茶飯事でしょ?」
「そ、そこまででは無……いや、どうなんだろう。あるのかな」
「ふふ、冗談。今回のは私のせいみたいなところもあるしね」
「?」
「皆待ってるし、ちゃっちゃとトイレ寄って戻りましょ」
まこの傘を回収任務は忘れちゃいけない。外まで探して回るのは御免被りたい、トイレに残ってることを祈りましょう。
「部長、そのことなんですけど」
「うん?」
「染谷先輩の傘ってこれですか?」
驚いた。黄緑色に黒のドット、間違いなくまこの物だ。
「うん、そう。でもどうして咲が?」
「部長より先にここに着けたので一応受付の人に聞いてみたんです。『トイレにあった傘の落し物は届いてませんか』って。そしたらこれを渡されて」
「あー、」
そりゃそうか。まこがトイレに忘れたとしても、そうでなくてコンビニ返りに落としたとしても、それが館内だったらここに届くんだ。訪れる優先度的には二番目に来る。我ながら抜けていた。
「ナイス!危うくコンビニまで無駄に歩くところだったわ、ありがとね咲」
「いえ。元はと言えば私が迷っちゃったからここに来るはめになっただけですし、怪我の功名ですよ」
怪我の功名。なるほど、ある種これも悪待ちかもしれない。
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