35: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:44:47.97 ID:LgMjPCNT0
>>34 訂正
〇デビューした時点で知名度だってある程度有していた鳴り物入りの穎才だ。
×デビューした時点で知名度だってある程度有していた鳴り物入りの麒麟児だ。
36: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:47:28.45 ID:LgMjPCNT0
「――後はそう、役作りは当然した方が良いよ」
頼りない後輩からの相談を受け、小さな女優は肘をついて語る。
37: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:49:00.08 ID:LgMjPCNT0
「……そうだよ」
掠れるような声で、答える。
38: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:50:11.20 ID:LgMjPCNT0
だけど私の言葉を聞いた桃子ちゃんは、眉間に皺を寄せて口調を強くする。
「悪いけど、桃子が言ってるのはお手本を真似するって話じゃないよ。
集められるだけの情報を集めたなら、それを元にして一から演じる役を形にしていく作業なの。
39: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:51:01.29 ID:LgMjPCNT0
「でも、それも分からないような人たちが演技派だ何だって持て囃されて。
見る人が見れば、下手くそだってすぐわかるのに……みんな節穴ばっかりだよ」
さらには悲しそうに視線を伏せて、彼女はため息と共に肩を落とす。
40: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:52:14.91 ID:LgMjPCNT0
【三幕 夢を追うなら#1】
目を開けると自室のベッドの上だった。
どうも、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
41: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:54:03.34 ID:LgMjPCNT0
私はもう一度机の前に戻ると、二冊の台本を並べて腕を組んだ。
この二週間、何度も何度も読み返したソレはどちらも相応にくたびれて、
でも、役を掴むための手助けには全くならなくって。……なのに今は。
42: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:55:09.97 ID:LgMjPCNT0
「確かめなきゃ」
本番までの時間は残り少ないけど、
取るべき方法だけは霧が晴れたようにハッキリと分かっていた。
43: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:56:55.82 ID:LgMjPCNT0
サクリと、最初の一挙は拍子抜けするほどにあっけなく。
でも、確かに突き出したシャベルにはひと掬い分の砂が乗って、
地面にも小さな小さな穴が空いた。
44: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:57:50.60 ID:LgMjPCNT0
……だけど、今の私は少し違う。
誰にも見られてないと分かってても、やっぱり人目は気になるし、
とめどなく流れる汗が不快だなんて気持ちにもなる。
45: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:59:05.47 ID:LgMjPCNT0
「――あっ!」
ガツンと、シャベルの先端が何かにぶち当たった。
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