39: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:51:01.29 ID:LgMjPCNT0
「でも、それも分からないような人たちが演技派だ何だって持て囃されて。
見る人が見れば、下手くそだってすぐわかるのに……みんな節穴ばっかりだよ」
さらには悲しそうに視線を伏せて、彼女はため息と共に肩を落とす。
私はなんて声をかけたらいいかが分からなくて、
ただ「あ、ありがとう。参考になったよ」と、その場しのぎのお礼を返すしかできなかった。
――これ以上は容易に踏み込ませない。
そんな目には見えないけど分かる拒絶のラインが私たちの間に引かれてたから。
「……ごめんなさい。少し、嫌なことを思い出しちゃったから」
別れ際、桃子ちゃんは私にそう言って小さな頭を下げた。
そうして再び顔を上げると、彼女はいつものようにしっかり者の女の子になって。
「だから一つだけサービスしておくね。……迷ってるなら動けば良いと思う。
自分でも経験してみなくちゃ、身に付かないことって結構多いんだよ」
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