45: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:59:05.47 ID:LgMjPCNT0
「――あっ!」
ガツンと、シャベルの先端が何かにぶち当たった。
見れば、握り拳ほどの石が砂の中から顔を出していて、
それにシャベルをぶつけてしまったのだとすぐに気がついた。
屈み込み、拾い上げ時に、私は光が弾けるように答えの欠片を掴み取った。
そして同時に、雪歩ちゃんが言った失敗の意味と彼女の見せた笑顔のワケ、それに気づいて背筋を冷たくした。
彼女が今の私のように、たった一人で穴を掘っても諦め無かった理由は何だったか?
劇中、穴を掘りながら『幸せだな』と彼女は言った。
ラストシーン、『壁はまだある』と彼女は言った。
『弱虫な自分が逃げる話』だと雪歩ちゃんは恥じ入るように劇を振り返った。
誰も彼もが絶望に顔を濁した時、彼女だけは一人笑っていた。
こちらをゾッとさせるような、満面の笑顔を浮かべていた。
……それをどうして恐ろしいと感じたのか?
その答えは酷く単純な物で、なぜなら一緒に穴を掘っていた仲間たちとは――。
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