17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:13:00.77 ID:LgMjPCNT0
本を手にした木無塚さんが言う。
「これは昔、まだ765に劇場なんて無かった頃に書いた話でね。
主演はこの山師が売り出そうとしてた男嫌いのお嬢さん――」
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:14:09.81 ID:LgMjPCNT0
「あてがきですか〜? お手紙を出すときに書いておく、相手の住所と名前のことですよ〜」
難なく答えているけども、先の文脈から察するに、
今話してるあてがきとは全く別の物だろうな。
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:15:50.30 ID:LgMjPCNT0
「塚さん、塚さん。アナタ、褒められてるんじゃなくて気味悪がられてるんですよ」
「なにっ!? どうしてそんな反応をされなきゃならんのだ。
こっちはね、今回の直しの為に五人のプロフィールから何から読み返してイメージを膨らませたってのに」
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:17:28.18 ID:LgMjPCNT0
「……少し見苦しいところをお見せしたね。それで、先ほどの質問を答えようか」
仕切り直すような咳払いを一つ。
身の置き所を探すような口ぶりで木無塚さんは断ると、改めて私たち五人と向き合った。
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:18:35.42 ID:LgMjPCNT0
【二幕 壁を掘る人#1】
どうして私が? そう思った。
琴葉さんじゃないの? とも思った。
22: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:20:15.56 ID:LgMjPCNT0
「……こうなったのも半分はお前のせいだからな」
「桃子たちのこともよろしく頼みますよ」
23: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:23:20.40 ID:LgMjPCNT0
『その世界は四方に壁があった』
語り部の声が響く。
24: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:24:39.57 ID:LgMjPCNT0
===
劇は順調に進んでいく。登場人物も次第に増えていく。
街を取り仕切る立場にいる男装の麗人(こちらも私が知ってる人。菊地真ちゃんが演じていた)に、
25: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:26:12.06 ID:LgMjPCNT0
『正気じゃないな』男装の真ちゃんが切り捨てる。
相手を蔑むように見つめながら、
彼女はそれがどれほど馬鹿げた計画なのかを淡々とした口調で指摘する。
26: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:28:01.60 ID:LgMjPCNT0
――これを、演じなくちゃならない。
そう思えば、自然と身震いする体。
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