10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 15:58:53.77 ID:LgMjPCNT0
「大事なのは舞台に立ったって経験なの」と、
メンバーの中では唯一本格的な演劇経験を持つ琴葉さんは言う。
――彼女は高校で演劇部所属なのだ。
11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:00:52.42 ID:LgMjPCNT0
実際、隣に座るエレナちゃんなんかはいまいち理解してないようで。
「つまり当たって砕けろチャレンジの、チリも積もって大和晴れだネ!」
12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:02:54.62 ID:LgMjPCNT0
「そういえば、紗代子はどう?」
「えっ」
13: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:04:42.31 ID:LgMjPCNT0
「――不安はあまり感じてません。
だって、この五人が力を合わせれば、壊せない壁なんて無いと思いますから!」
私は震える指を握り拳。自分には武者震いだって言い聞かせて、
14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:06:31.25 ID:LgMjPCNT0
===
だけどそうして、私たちの実習チームは着実に経験を重ねて行った。
初めこそ勝手が分からないから手間取ることもあったけれど、
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:09:54.56 ID:LgMjPCNT0
【一幕 いきさつ#3】
さて、そんな風に私たちのチームが少しは物になった頃だ。
五人はいつかのようにプロデューサーに呼び出されてレッスンルームに揃っていた。
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:11:39.03 ID:LgMjPCNT0
「こちら、劇団唐変木の木無塚さん。君たちの演技レッスンを
何度か指導しているから見知っているとは思うけども、今日は大切な話があって来てもらった」
「どうも、無理やり叩き起こされてきた休日出勤の木無塚です。
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:13:00.77 ID:LgMjPCNT0
本を手にした木無塚さんが言う。
「これは昔、まだ765に劇場なんて無かった頃に書いた話でね。
主演はこの山師が売り出そうとしてた男嫌いのお嬢さん――」
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:14:09.81 ID:LgMjPCNT0
「あてがきですか〜? お手紙を出すときに書いておく、相手の住所と名前のことですよ〜」
難なく答えているけども、先の文脈から察するに、
今話してるあてがきとは全く別の物だろうな。
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:15:50.30 ID:LgMjPCNT0
「塚さん、塚さん。アナタ、褒められてるんじゃなくて気味悪がられてるんですよ」
「なにっ!? どうしてそんな反応をされなきゃならんのだ。
こっちはね、今回の直しの為に五人のプロフィールから何から読み返してイメージを膨らませたってのに」
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:17:28.18 ID:LgMjPCNT0
「……少し見苦しいところをお見せしたね。それで、先ほどの質問を答えようか」
仕切り直すような咳払いを一つ。
身の置き所を探すような口ぶりで木無塚さんは断ると、改めて私たち五人と向き合った。
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