雨が降ればいいのに
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7:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 00:28:35.45 ID:lfpzaq0oO
「ちょっと、考えさせてもらってもいいですか?」

その言葉だけで、俺の頭はいっぱいになった。

考えるってことは、花火大会に行くような決まった相手はいないということだろう。少なくとも、俺がスタート地点に立ててすらいないというわけではないんじゃないか。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 00:29:09.40 ID:lfpzaq0oO
「浴衣、似合ってますね」

初めて会った頃ではとても口にできなかったような言葉も、どうにか伝えることができた。少しは成長したのかもしれない。

ありがとう、と返されて、彼女は炭酸ジュースを手渡してくれた。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 00:29:47.85 ID:lfpzaq0oO
これ以上踏み込んでいいのか、踏み込むべきでないのか。

その冷静な判断が、俺は出来なかった。いや、したくなかったと言うべきかもしれない。落ち着こうとすれば落ち着こうとするほど、今を逃せば彼女と近づける機会が無くなる気がした。

吊り橋効果ではないけれど、雰囲気に乗せてしまえば彼女も勘違いしてくれるんじゃないかと、そう思っていた。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 00:58:48.03 ID:lfpzaq0oO
花火大会が終わってからも、俺たちの関係は変わらなかった。

相変わらず雨の日になれば神社に集まり、そうでなければ変わらぬ日常を過ごす。

あの花火大会が夢だったんじゃないかってくらい、何も変わらなかった。数少ない変化といえば、悠里さんは9月になっても私服で神社に来るようになった。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 01:00:08.19 ID:lfpzaq0oO
その場で即答することができなかったのは、悠里さんと俺の不安定な関係のせいだった。

もし俺が悠里さんに既にフラれているのであれば、キッパリ断ち切って諦めようと思った。そして彼女、珠理ちゃんと新しく青春すれば良い。

けれど、告白された時点ではどうにもそうは思えなかった。せめてもう一度、悠里さんに会わねばと思った。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage]
2018/06/05(火) 01:00:35.07 ID:lfpzaq0oO
今晩はここまでの更新です。


13:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 12:47:11.35 ID:lfpzaq0oO
所詮おりでは無理だったかという諦念と、その表情が何を意味するかわからない戸惑いで、俺は何も言い返せなかった。

ただ、失恋をしたという痛みだけが俺の胸を責めた。人生で初めて感じる痛みだった。

どんな子なんですか、とか。藤くんはかっこよくなったから、とか。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 12:58:40.47 ID:lfpzaq0oO
翌日、俺は珠理ちゃんに告白の了承を伝えた。特に感慨はなかったけれど、悠里さんのことを気にしなければ断る理由もない。

彼女がいる生活、っていうものがどんなものかと思いはしたけど、特に大きな変化はなかった。ただ、雨の日になっても神社に行かなくなっただけだ。

部活が休みになると、俺は珠理ちゃんtp並んで歩いた。繋いだ手からは何も感じることはなかったけど、こういう落ち着いた気持ちが幸せだと言われたら、そんな気もしてしまう。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/06/05(火) 22:08:11.59 ID:994S4Ppm0
>>5です
見やすくなってますな
頑張って


16:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 22:54:32.84 ID:lfpzaq0oO
そうやって斜に構えた中学三年の一年を挟み、高校生になる頃には、もう背伸びなんてしなくなっていた。

俺には俺に見合った程度の幸せがあって、それがきっと現状なのだろう。

同じ学校に進学した彼女に不満はないし、将来に対して漠然とした不安はあっても具体的な不足も特に無い。それはつまり、幸せってことだろう?
以下略 AAS



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