雨が降ればいいのに
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11:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 01:00:08.19 ID:lfpzaq0oO
その場で即答することができなかったのは、悠里さんと俺の不安定な関係のせいだった。

もし俺が悠里さんに既にフラれているのであれば、キッパリ断ち切って諦めようと思った。そして彼女、珠理ちゃんと新しく青春すれば良い。

けれど、告白された時点ではどうにもそうは思えなかった。せめてもう一度、悠里さんに会わねばと思った。

携帯電話も持っておらず、悠里さんとの連絡先を交換していない俺にとっては、雨が降ることをただ待つだけしかない。

彼女と会えたのは、告白されてから一週間と二日後のことだった。

「こんばんは、久しぶりですね」

いつも通り、彼女は先に待っていた。帰宅部とは言え、一度着替えてここに向かっているのなら、たまには俺より遅くなる日があってもおかしく無いのに。

「こんばんは、そうですね」

挨拶をしてる時間すらじれったかった。こうなってしまうと、一刻も早く全てを終わらせてしまいたかった。

「俺、告白されました。クラスの女の子に」

これで彼女がどんな反応をするだろうか。もし「私と一緒にいてほしい」と言ってくれるなら、珠理ちゃんには明日にでも断りを入れよう。

そう思っていたのに。

「良かったですね」

彼女はそう口にした。優しげな口調に、辛そうな響きで。暖かい笑顔で、冷めた目をして。


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