雨が降ればいいのに
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16:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 22:54:32.84 ID:lfpzaq0oO
そうやって斜に構えた中学三年の一年を挟み、高校生になる頃には、もう背伸びなんてしなくなっていた。

俺には俺に見合った程度の幸せがあって、それがきっと現状なのだろう。

同じ学校に進学した彼女に不満はないし、将来に対して漠然とした不安はあっても具体的な不足も特に無い。それはつまり、幸せってことだろう?

ただ、何かに情熱を燃やすということは、もうしなくなった。それが与えるのは希望ではなく、限界を知ることだと気がついたからだ。

高校の制服にも慣れてきた頃、高橋に言われた。

「お前、器用に生きてるよな」

褒め言葉なのかなんなのか、反応に困っていたら「褒め言葉じゃねぇから照れんな」と付け足された。なんてことはないやりとりのはずなのに、それが少し寂しく思われたのはなぜだろうか。

自分のことが分かっているから、器用に見えるのかもしれない。これくらい頑張ればここまではたどり着けるけど、どんなに頑張ってもそこまではたどり着けない、っていう。


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