雨が降ればいいのに
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17:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 23:03:43.91 ID:lfpzaq0oO
うちの学校のサッカー部は、三年が引退するまでは一年はなかなかボールを触らせてもらえない。

先輩たちの練習中は基本的にフットワーク系のトレーニングがメインで、グラウンドが空いてる時間だけボールを触らせてもらえる。さして強くもない学校なのに、そういうところはきっちり縦社会だった。

多くはない一年生の中で、高橋と俺は頭一つ抜けた存在だった。二人とも、中学時代に市の選抜チームで知り合い、元々顔見知りでもあった。

高校で再会した時は、お互いに「なんでここに」と言い合ったものだ。「もっと強い学校に行ったと思っていた」と。

俺がうちに来た理由は単純で、プロになれるわけでもないサッカーを一生懸命するつもりはなかったからだ。そんな不安定なものに高校生活を捧げるつもりはさらさらなかった。いくつか声をかけてくれてた学校にも、断りの連絡を入れた。

一方で高橋は、「俺がこの学校を強くする」という、漫画みたいな野望を抱いて入学したらしい。山村さんという中学時代の先輩が、似たような志でうちの学校に一年早く入っていたのも元々知っていて、、それが決め手だったらしい。

「高橋と藤、ちょっと混ぜてみません?」

山村さんのその一言がきっかけで、俺たちはフットワーク地獄から抜け出して上級生の練習に参加する日々が続いた。

高橋は持ち前の熱いキャラと明るさですぐに先輩たちに打ち解けていた。一方で俺は、そんな高橋に「藤は上手いっす。ただ、もうちょっと根性がなぁ……」と弄られていた。

やる気がないわけじゃないんだけどね。無理をする気がないだけで。


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