12:名無しNIPPER[sage]
2018/06/05(火) 01:00:35.07 ID:lfpzaq0oO
今晩はここまでの更新です。
13:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 12:47:11.35 ID:lfpzaq0oO
所詮おりでは無理だったかという諦念と、その表情が何を意味するかわからない戸惑いで、俺は何も言い返せなかった。
ただ、失恋をしたという痛みだけが俺の胸を責めた。人生で初めて感じる痛みだった。
どんな子なんですか、とか。藤くんはかっこよくなったから、とか。
14:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 12:58:40.47 ID:lfpzaq0oO
翌日、俺は珠理ちゃんに告白の了承を伝えた。特に感慨はなかったけれど、悠里さんのことを気にしなければ断る理由もない。
彼女がいる生活、っていうものがどんなものかと思いはしたけど、特に大きな変化はなかった。ただ、雨の日になっても神社に行かなくなっただけだ。
部活が休みになると、俺は珠理ちゃんtp並んで歩いた。繋いだ手からは何も感じることはなかったけど、こういう落ち着いた気持ちが幸せだと言われたら、そんな気もしてしまう。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/06/05(火) 22:08:11.59 ID:994S4Ppm0
>>5です
見やすくなってますな
頑張って
16:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 22:54:32.84 ID:lfpzaq0oO
そうやって斜に構えた中学三年の一年を挟み、高校生になる頃には、もう背伸びなんてしなくなっていた。
俺には俺に見合った程度の幸せがあって、それがきっと現状なのだろう。
同じ学校に進学した彼女に不満はないし、将来に対して漠然とした不安はあっても具体的な不足も特に無い。それはつまり、幸せってことだろう?
17:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 23:03:43.91 ID:lfpzaq0oO
うちの学校のサッカー部は、三年が引退するまでは一年はなかなかボールを触らせてもらえない。
先輩たちの練習中は基本的にフットワーク系のトレーニングがメインで、グラウンドが空いてる時間だけボールを触らせてもらえる。さして強くもない学校なのに、そういうところはきっちり縦社会だった。
多くはない一年生の中で、高橋と俺は頭一つ抜けた存在だった。二人とも、中学時代に市の選抜チームで知り合い、元々顔見知りでもあった。
18:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 23:10:22.88 ID:lfpzaq0oO
俺たちは二人とも、そのまま上級生チームに正式に加えられ、気がつけば大会のメンバーにも登録されていた。何人かの先輩方を蹴落としての選出に申し訳なさもあったけど、これが俺の能力に見合った評価だというのなら受け入れよう。
「藤、今年から勝ちに行くぜ」
メンバー発表の日の帰り道、高橋からそう声をかけられた。
19:名無しNIPPER[saga]
2018/06/05(火) 23:15:49.81 ID:lfpzaq0oO
いざ大会が始まると、高橋の目論見通りと言うべきか、うちの学校は快進撃を続けた。
高橋に巻き込まれて、中二の夏以来の自主練に取り組んだおかげか、これまでより体がキレている。
俺たち二人は一年ながらもスタメンで試合に出続け、時にはゴールを決め、アシストをした。
20:名無しNIPPER[saga]
2018/06/06(水) 01:48:21.31 ID:7tzj79fiO
「藤くん、サッカー上手いんだって?」
と声をかけられる機会も増えた。少しスクールカーストで上位に上がったおかげか、サッカー部でない先輩にも少しずつ覚えられてきた。
けれど、そういうのは所詮一時的なものだ。勘違いをするようなことはしなかったし、高橋も告白を断り続けていた。どのみち、大会で負けてしまえばそういうこともなくなるだろう。
21:名無しNIPPER[saga]
2018/06/06(水) 02:00:23.54 ID:7tzj79fiO
誰かに弱音を吐きたかった。聞いて欲しかった。
でも、こんなことを言える相手は他にはいない。高橋は一生懸命頑張っているし、評価されることがモチベーションになっている。
あいつに「期待されるのが辛い」なんて言っても、きっと分かってはもらえないだろう。
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