雨が降ればいいのに
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20:名無しNIPPER[saga]
2018/06/06(水) 01:48:21.31 ID:7tzj79fiO
「藤くん、サッカー上手いんだって?」

と声をかけられる機会も増えた。少しスクールカーストで上位に上がったおかげか、サッカー部でない先輩にも少しずつ覚えられてきた。

けれど、そういうのは所詮一時的なものだ。勘違いをするようなことはしなかったし、高橋も告白を断り続けていた。どのみち、大会で負けてしまえばそういうこともなくなるだろう。

俺の中では何も変わらず、でも周囲の目線は変わってきたギャップが妙に居心地悪く、気持ち悪かった。自分が話題にされるような人間ではないと分かっている。何かを期待されたくもない。

それでも、周りからは必要以上に評価され、関心を向けられる。

「藤くんのおかげで、先輩たちにも声かけられちゃった」

俺のその違和感に気づきもしない珠理ちゃんからは、そんなことを気楽に言われた。

「気負ってんじゃねーよ」

プレッシャーだと勘違いしたのか、山村さんはそう声をかけてくれた。

違う。誰も分かってくれない。俺はそうじゃない、そうじゃないんだ。


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