雨が降ればいいのに
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21:名無しNIPPER[saga]
2018/06/06(水) 02:00:23.54 ID:7tzj79fiO
誰かに弱音を吐きたかった。聞いて欲しかった。

でも、こんなことを言える相手は他にはいない。高橋は一生懸命頑張っているし、評価されることがモチベーションになっている。

あいつに「期待されるのが辛い」なんて言っても、きっと分かってはもらえないだろう。

しかし、他のの人たちは俺に対してその目を向けている。この状況を分かち合えるような人が、俺にはいない。

そう思った矢先だった。

梅雨入りにはまだ少し早いような時期、雨降る日。簡単なミーティングと軽い筋トレだけ済ませて、傘をさして帰っていた。

珠理ちゃんも高橋も今日は用事があるとのことで、久々に一人での帰路だった。騒々しい時間が増えたせいか、久しぶりに少し落ち着いた気持ちになれた。

そういえば、あの頃は雨が降るのが待ち遠しかったな。

二年前のことを思い出すと、胸がキュッと締め付けられた。もう終わったことだと思っていたのに、俺の中ではそうではなかったらしい。

いや、「悠里さんと会っていた頃なら」と空想してしまっていた時点で、終わらせられてもいなかったのかもしれないけれど。

それに気がつくと、俺の足は止まらなかった。今更会えると思っているわけでもないけれど、自然と早足でいつものあの場所、だった神社へたどり着いた。

石段を登り、社殿の戸に手を伸ばした。あの頃と同じで、鍵はかかっていなかった。


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