285: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:31:42.01 ID:ABaWR+nR0
魔王は、隻眼のミノタウロスに支えられ小さな樽に腰かけている。周囲の魔物たちが、これでもかと甲斐甲斐しく介抱し魔王は幾分かの体力を取り戻したようだ。
286: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:32:09.18 ID:ABaWR+nR0
俺は、軽やかにステップを踏み身体の調子を整える。対する魔王は、付けたばかりの義手を相変わらずグルングルンとまわしている。
「合図が必要だな」
287: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:32:35.64 ID:ABaWR+nR0
一体何発のパンチを見舞い、何発のパンチをもらっただろうか。膝が震え、肩を揺らし、目は腫れ視界がかすむ。まともな人間、まともな魔族であれば幾百回の死を迎えるであろう威力を正面から受け止め俺と魔王はともに限界を迎えつつあった。
白く霞んだ世界から、突然魔王の拳が目の前に現れた。精神が高まっているせいか、その拳はひどくゆっくりと俺に向かって飛んでくる。何とか交わそうと、上体を揺らすが力が思うように入らない。
288: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:33:03.37 ID:ABaWR+nR0
ミノタウロスが、俺の顔を覗き込んでくる。
289: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:33:30.82 ID:ABaWR+nR0
翌朝、目が覚める。傍らには、遊び人の頭が転がっていた。すやすやと気持ちよさそうに、寝息を立てている。
周囲を見渡すと、倉庫の地べたに魔物も僧兵たちも入り混じれて雑魚寝している。倉庫の中には血や汗、そしてビールの混じり合った酷い匂いが立ち込めている。どうやら、勇者の祝勝会と魔王の残念会が同時に、そして盛大に行われたらしい。
290: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:33:57.76 ID:ABaWR+nR0
――――――
エピローグ
――――――
291: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:34:24.74 ID:ABaWR+nR0
目の前に置かれた逆三角形のグラスには、赤い液体で満たされ、更にその中にはチェリーがプカプカと浮かんでいる。
「マンハッタンでございます」
292: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:34:51.71 ID:ABaWR+nR0
「ん」
「だからさ、また旅に出ようよって話をしてるの」
293: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:35:19.43 ID:ABaWR+nR0
――――――
遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
294: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/08(土) 22:41:33.30 ID:ABaWR+nR0
長らくお付き合いいただき有難うございました。
変なところがあれば指摘してもらえると助かります。頂いたご指摘は、小説家になろうに投降している同作品の方で修正していきます。
酔いどれ勇者は、今日も千鳥足で魔王を追っています!
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