白菊ほたる『災いの子』
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50: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:27:51.88 ID:sFL9uHdg0
   *

 翌日、私は臨時のオーディション会場となるレッスン室にやってきた。部屋の前の通路に、緊張した様子のアイドルたちがレッスン着姿でたむろしている。
 社内オーディションは、いちどに3人ずつ入室して審査を行うという形で行われるらしい。審査員は志希さん、夕美さんに、それぞれの担当プロデューサー、それに周子さんのプロデューサーを加えた5人だ。
 入り口のドアに1枚の紙が張ってある。審査の順番が書かれたもののようだった。
以下略 AAS



51: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:28:51.92 ID:sFL9uHdg0
「……出番までの時間潰しといってはなんだけど、他愛のない戯言を聞いてもらっても構わないかな?」

 飛鳥さんが言った。

「なんでしょう?」
以下略 AAS



52: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:30:41.39 ID:sFL9uHdg0
 審査を終えた3人が部屋から出てきて、新たに3人が部屋に入る。何度かそれを繰り返し、やがて私たちの順番をむかえる。
 3人でレッスン室に足を踏み入れ、最後に入った私が部屋のドアを閉めた。

 壁際に、普段はレッスン室にはない長机が置かれており、審査員となる5人が椅子に腰掛けていた。
 夕美さんがこちらに向けて小さく手を振る。その肩に、志希さんが電車の中で居眠りをする人みたいに頭を預けている。
以下略 AAS



53: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:32:23.39 ID:sFL9uHdg0
「ボクの番だね」

 着席する蘭子さんと入れ替わりに飛鳥さんが立ち上がる。一瞬、ちらりと私を見たような気がした。そして、レッスン着のポケットから青い扇子を取り出し、ぱしんと音をたてて開いた。

 イントロが流れ出し、私はあっけにとられた。順番を間違えているのではないかと思った。スピーカーから流れ出したその曲が、私が指定した周子さんの『青の一番星』だったからだ。
以下略 AAS



54: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:33:41.54 ID:sFL9uHdg0
 席を立ち、足を進めながら考える。
 飛鳥さんのアレンジは、即興でできるクオリティじゃなかった。かといって、前々から準備していたとも思えない。社内オーディションの話はみんな昨日知らされたばかりなのだから。
 つまり、話を聞かされてから、一晩で身に着けたということだ。このオーディションのために。それは勝つための努力、勝つための工夫だ。
 蘭子さんも飛鳥さんも、油断や慢心はしていない。それぞれが自分にできる限りのことをして勝ちに行っている。

以下略 AAS



55: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:34:37.09 ID:sFL9uHdg0
「しかしキミは、なかなか渋い扇子を持ってるね」

 部屋を出たところで、飛鳥さんが言った。

「いえ、これは借り物で……」
以下略 AAS



56: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:35:24.23 ID:sFL9uHdg0
   *

 社内オーディションの次の日、「合格した」とプロデューサーさんが言った。

「私が……?」
以下略 AAS



57: ◆ikbHUwR.fw[sage]
2018/05/16(水) 19:36:10.07 ID:sFL9uHdg0
(本日はここまでです)


58:名無しNIPPER[sage]
2018/05/16(水) 20:56:51.09 ID:yCguXzRfo
面白い、続き気になる


59:名無しNIPPER[sage]
2018/05/22(火) 01:23:55.83 ID:1RxOEJRC0
おつ 凄い面白い 待ってるよ
しかしPさん少しドライ気味な感じだね


60: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/23(水) 17:36:31.01 ID:XzeV2oVA0
   06.

 社内オーディションの2日後、ライブに向けて何回か予定されている合同レッスンの最初の日を迎えた。夕美さんと志希さんとはオーディション以来、初めて顔を合わせることになる。
 指定された時刻より10分ほど早くレッスン室に入ると、すでに夕美さんがそこにいた。薄緑色の半袖Tシャツを着ていて、下はレッスン用のジャージを穿いている。

以下略 AAS



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