白菊ほたる『災いの子』
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50: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/16(水) 19:27:51.88 ID:sFL9uHdg0
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 翌日、私は臨時のオーディション会場となるレッスン室にやってきた。部屋の前の通路に、緊張した様子のアイドルたちがレッスン着姿でたむろしている。
 社内オーディションは、いちどに3人ずつ入室して審査を行うという形で行われるらしい。審査員は志希さん、夕美さんに、それぞれの担当プロデューサー、それに周子さんのプロデューサーを加えた5人だ。
 入り口のドアに1枚の紙が張ってある。審査の順番が書かれたもののようだった。

 私といっしょに受けるのは――

「おお! 其方も天界へ続く門を開かんとする者か。されど呼び声が求めしは唯一枚の翼、今宵は存分に猛り狂う魂を比べ合おうぞ!」

「は、はいっ!?」

 びくりと身を震わせて振り返ると、神崎蘭子さんが突き出した手のひらを私に向けていた。

「キミもオーディション受けるんだね、がんばろう。――みたいな意味だよ」

 その後ろで、二宮飛鳥さんが言った。

「然り」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 私はぺこりと頭を下げる。

 蘭子さんと飛鳥さん、このふたりが私と同時に審査を受ける、プロデューサーさんがこのオーディションの本命だろうと言ったふたりだった。

 選ばれるのはたったひとりだから、組み合わせや順番にさほど意味はない。
 それでも、最低でも同時に審査を受ける3人の中では、いちばんいいと思わせることが出来なければ話にもならない。そんな中で、本命候補と見なされるふたりのいる組になってしまうのは、我ながらさすがの引きの悪さだろう。


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