白菊ほたる『災いの子』
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156: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/28(木) 01:06:46.40 ID:sg2qAd8w0
   *

 書類手続きを終えた次の日、トレーナーの青木聖さんに白菊のレッスンを依頼をした。
 レッスンを担当するトレーナーは、そのアイドルの技量に応じて変わる。聖さんは通常、新人を受け持つことはなかったが、このときは無理に頼み込んだ。白菊の実力はいかほどのものか、どうせなら厳しいトレーナーを当てて試してみたかったからだ。

以下略 AAS



157: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/06/28(木) 01:07:36.00 ID:sg2qAd8w0
 書類仕事に追われて時間を忘れ、気が付けばすっかり日が暮れていた。
 そろそろ帰るかと腰を上げ、ふと思い出す。帰る前にひと声かけるようにと言っておいた、白菊が顔を見せていない。

 忘れてそのまま帰ってしまった?
 それならそれで構わない。しかしあの子は不幸体質なのだ、なにか突発的な事故があったのかもしれない。それとも、無理をしすぎて倒れてしまったのか。
以下略 AAS



158: ◆ikbHUwR.fw[sage]
2018/06/28(木) 01:08:32.76 ID:sg2qAd8w0
(本日はここまでです)


159:名無しNIPPER[sage]
2018/06/28(木) 21:37:50.19 ID:FkK+31YX0
乙です
いいね、プロデューサーもやはり曲者だったか


160:名無しNIPPER[sage]
2018/07/03(火) 12:46:41.72 ID:EGErunWGO
面白いねこれ
続きに期待


161: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:32:01.43 ID:1DFdeF0E0
   11.

『さて、みんなには残念なお知らせになっちゃうんだけど、実は夕美ちゃんがケガしちゃってさ』

『あー、そんな深刻なものじゃないから、心配はしないでいいよ。ただ、このあと予定されてたステージには、ちょっと出れそうにないかな』
以下略 AAS



162: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:33:13.09 ID:1DFdeF0E0
 出てきたはいいけど、なかなか始まらない。ほたるちゃんはマイクスタンドの前で石像のように突っ立ったままだ。
 客席が静かになるのを待っているんだとすれば、それは無理ってもんだ。これは放っておいて静まることはない。むしろお客さんたちは困惑を深めて、ざわめきは一層大きくなっている。

 そのとき、ふいにほたるちゃんが、にこりとほほ笑み、あたしはぽかんとしてしまった。
 意表を突かれたのはあたしだけじゃないらしく、喧噪がすっと吸い込まれるように静まる。その一瞬の隙を突くように、ほたるちゃんがアカペラで歌い出した。
以下略 AAS



163: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:34:17.08 ID:1DFdeF0E0
 初めてその少女と出会ったとき、あたしは「おとなしそうな子だな」と思った。
 伏し目がちで口数が少なく、いつもなにかに怯えるみたいにおどおどとしていた。

 13歳、あたしから見ると5つ下、ここはひとつお姉さんがリードしてやらねばなるまい、とガラにもなく張り切って、あれこれと喋りかけたりしたもんだ。

以下略 AAS



164: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:35:22.00 ID:1DFdeF0E0
 2曲目、3曲目、4曲目と、硬派なロックバンドみたいに一切MCを挟まずに歌が続いていく。
 アイドルのライブらしくはない、だけどそれが通用するだけの力がほたるちゃんの歌声にはあった。
 アクシデントに遭うことが多く、オーディション会場にたどり着けないことも珍しくないほたるちゃんは、その実力に対して不当に評価が低い。
 単純な技量で比べるなら、本当は事務所のトップクラスにだってひけをとらない。今まではそれを発揮する機会に恵まれなかっただけだ。

以下略 AAS



165: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:37:09.55 ID:1DFdeF0E0
   *

 隠れていた倉庫から顔を出し、周囲を確認する。
 スタッフの姿、足音、減少。遠くからかすかに音楽と歌声。ライブが再開したらしい。

以下略 AAS



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