161: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/07/15(日) 23:32:01.43 ID:1DFdeF0E0
11.
『さて、みんなには残念なお知らせになっちゃうんだけど、実は夕美ちゃんがケガしちゃってさ』
『あー、そんな深刻なものじゃないから、心配はしないでいいよ。ただ、このあと予定されてたステージには、ちょっと出れそうにないかな』
『でも、この後もライブは続行するから、しばらく待っててね〜』
ばちりと派手なウインクを残し、志希ちゃんがステージを後にする。
ステージの明かりが絞られ、代わりに客電が灯る。お客さんがざわざわと騒ぎ始めた。
深刻なケガじゃないというのは本当だろう。もしも夕美ちゃんが重症を負っているなら、たぶん志希ちゃんは自分の出番なんてほっぽらかす。今日のステージだけは無理ってぐらいかな?
様子を見に行きたいけど、ライブ中はちょっと無理だろう。終わってから顔を出してみようか。
それから15分ほど経過する。再開する気配はない。
20分が経過する。長い休憩だ。
出番が連続してしまう志希ちゃんを休ませるためだろうか、と思ったところで客席の照明が落ち、少し間をおいてスポットライトがひとりの少女を照らし出した。
上がりかけた歓声が静まり、再び困惑のざわめきへと変わる。
……ほたるちゃん、か。
さて、だいじょうぶかいな?
あたしはひょっとしたらこの可能性もあるかなーと予想していたけど、今日ここに詰めかけているお客さんは桜舞姫を見に来ている。ほたるちゃんは前座としか見られていなかったはずだ。夕美ちゃんの代わりを立てるとしたら、それは志希ちゃんだと疑わなかっただろう。
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