高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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124: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:31:33.81 ID:uqQOtxCi0

弁天台場は、どうなったかな。島田さんは生き残っておられるかな。もしそうならば良いが。
島田魁は見てくれはおっかねえけど、誠実と正直が服着ておるような、硬骨潔白の士であるから。
降伏にせよ続戦にせよ、あん人に付いていけば、まんず間違いはねえ。

以下略 AAS



125: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:43:48.43 ID:uqQOtxCi0

ひとりにしてはならない。ひとりで、戦わせてはならない。

集団で斬れ。
新撰組に入隊したら、誰もが一番最初に叩き込まれた事じゃ。
以下略 AAS



126: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:50:55.57 ID:uqQOtxCi0


こうして目ば瞑ると――――いつもそこに、おまんが居るんじゃ。
一人の夜も、おまんに逢えぬ日々も、なんにも不安は無かった。眠る前には、目の奥の裏側に、いつもおまんの姿があった。

以下略 AAS



127: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:57:55.53 ID:uqQOtxCi0

どんな地の上に居ても、お天道様だけは変わらず、優しいやね。もはや死にかけておるというのに、ぽっかぽかと、ええ気持ちじゃ。
優しいお天道様の光に包まれながら、右目の奥でおまんが笑っている。
ここは極楽浄土かな。

以下略 AAS



128: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:59:36.69 ID:uqQOtxCi0

なあ、楓。ひとつだけ、言うておかねばならん事がある。
おまんは一度だけ、己が俺の労苦の大元であるかのように言うたが、それは断じて違う。
おまんは、俺たちの生まれた故郷の事、覚えているじゃろうか。

以下略 AAS



129: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 22:00:28.64 ID:uqQOtxCi0

行き場のない俺が、あの故郷の川で途方に暮れておると、おまんはどこからともなく近くに寄って来て、歌を口ずさんだな。
何者じゃと俺が振り返ると、おまんは兎のようにサッと身を隠してしもうた。こっちを向けと言うたら顔ば伏せて、そのきらきらの瞳を、中々見せてはくれねかったな。
最初の一言を交わすまで、ずいぶん、時間が要ったよな。

以下略 AAS



130: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 22:01:32.90 ID:uqQOtxCi0

櫻井様との見合い話が持ち上がったとき、土方さんに俺は、こう言われたことがある。

櫻井家の婿に入れば行く末は大旦那様だ、そっから好きな女でもなんでも、妾に迎えりゃよろしかろう、とな。

以下略 AAS



131: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 22:03:11.39 ID:uqQOtxCi0

おまんが売られて行くとき、俺はどうする事もできなかった。涙を堪えるのだけが、いっぱいいっぱいじゃった。
けんど、おまんは、幸せなのじゃというた。ありがたい事だというた。
我が身の不幸を嘆くことなど微塵も無く、たとえ強がりであったとしても、楓のおかげでとと様とかか様がお腹一杯食べられるなら、それで幸せなのですと言うたった。
俺はあん時のおまんほど強い人間を、ついぞ見たことがない。
以下略 AAS



132: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 22:05:47.06 ID:uqQOtxCi0

もう、血も脂もほとんど出て行ってしもうて、肉体が果つるを待つのみじゃが、中々死に切れぬ。
往生際悪く、この世に留まり続けるは、やはり、心残りがあるからなのじゃろう。

死ぬのは、怖くねえ。
以下略 AAS



133: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 22:07:23.62 ID:uqQOtxCi0

ひとりぼっちの俺の事ば、おまんが二人にしてくれた。そしたら、俺は二度と、元のひとりぼっちに戻ることは、出来んくなってしもうた。
おまんだって、おんなしに違いねえんじゃ。
じゃから、俺はどんな事ばしても、本当は帰らなきゃならなかったのに。
おまんのそばに、最期まで居なきゃならなかったのに。
以下略 AAS



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