高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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131: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 22:03:11.39 ID:uqQOtxCi0

おまんが売られて行くとき、俺はどうする事もできなかった。涙を堪えるのだけが、いっぱいいっぱいじゃった。
けんど、おまんは、幸せなのじゃというた。ありがたい事だというた。
我が身の不幸を嘆くことなど微塵も無く、たとえ強がりであったとしても、楓のおかげでとと様とかか様がお腹一杯食べられるなら、それで幸せなのですと言うたった。
俺はあん時のおまんほど強い人間を、ついぞ見たことがない。
たとえ俺たちが束になってかかったとしても敵わねえ、強くて気高いおなごじゃった。

あん時、俺は、はっきりおまんに惚れたのさ。

強くて、優しさの過ぎるおまんを、何としても幸せにしてえと思った。おまんから悉くの不安を、取り去ってやりたかった。
賑やかで、人に好かれて。毎日、いっつも笑っていられるような人生を、おまんに過ごしてほしいと心の底から思うた。

理由は十分さ。俺は男じゃから。おまんの歌が好きじゃったから。
俺の命ば、おまんの為に使うと決めた。

俺は、きちんとやれたじゃろうか。おまんの幸せば、ひとっつくらいは、増やせてやれたじゃろうか。
やれるだけ、やってはみたんだけども。

だからの、楓。俺は断じて、不幸ではなかったよ。
むしろ反対、俺はきっと、天下一の幸せもんじゃったと思う。
何の為に生まれて、何の為に生きるのか。わからぬまま終わってしまう男の方が、きっと多い。
俺は二十年と少しの短い人生じゃったが、その意味を知ることができた。そして最期の瞬間まで、それを疑わずにおれる。
案外、少ねえと思うぜ、ここまで惚れ抜ける女に出会えた、果報者はさ。

だから、それだけは何卒、覚えておってくだんせえ。



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