125: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:43:48.43 ID:uqQOtxCi0
ひとりにしてはならない。ひとりで、戦わせてはならない。
集団で斬れ。
新撰組に入隊したら、誰もが一番最初に叩き込まれた事じゃ。
一対一なら分が悪くとも、二対一なら十中八九、三対一ならまず負けない。故に仲間を絶対にひとりにしてはならんのが新撰組の鉄則じゃった。
卑怯というかも知れねえ。けんど俺らは勝ち続けて、戦い続けねばならなかった。
どこまでも戦うのが、新撰組であったから。
それが、戦術の鬼才・土方歳三が、年端もいかぬ素人小僧であった俺らが生き残るために、何はなくとも死守させた決まりだったんじゃ。
そしてその通り、生き長らえた。
ならば、その教えば授かった張本人を、どうして一人にすることが出来よう。
箱館に渡った京以来の隊士は二十人余りはおったけども、試衛館以来の生え抜きという意味では、土方さんただひとりじゃ。
近藤局長、沖田先生、永倉先生、山南総長、井上さんに原田さんに藤堂さん。土方歳三が背中を託した竹馬の仲間は、誰一人居らんくなってしもうた。
唯一の斎藤先生とは、俺の無理難題のせいで会津で袂を別つことになってしもうた。
それでもなお、誠の旗が折れぬ限りは、たったひとりになっても戦い抜くと決めた、最後の侍を。
誰もが目ば伏せて、膝を折っちまいたくなるような土壇場で、日ノ本ぜんぶを向こうに回して、俺が新撰組だと啖呵切ってのけた、あの格好良い男を。
ひとりでいかせることなんて、出来なかったのさ。
――――俺には、あの人がごたる、格好良い生き方は、とても出来ね。俺の誠は、ちっぽけだから。
俺は、惚れた女に格好つけたかっただけだからよ。
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