高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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127: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 21:57:55.53 ID:uqQOtxCi0

どんな地の上に居ても、お天道様だけは変わらず、優しいやね。もはや死にかけておるというのに、ぽっかぽかと、ええ気持ちじゃ。
優しいお天道様の光に包まれながら、右目の奥でおまんが笑っている。
ここは極楽浄土かな。

いんや、俺はやはり、地獄にしかいけんね。

こんなけ痛い思いばして、死んでなお針の山さ登ったり血の池で溺れにゃならんと思うたらちっくとおっくうじゃが、しょんないの。
俺が斬った者たちにも、家族は居たろう。歳食った父母。女房に幼子。
俺だけが好いた女に逢いたいがために、人を斬っていい理由にはなんねえ。
手前勝手の理屈で何十という人間を殺め、ひとり極楽に行けるなどとは、思うてはおらぬ。

斬った者の顔は、忘れた。数は一桁の頃に、数えるのをやめた。恐ろしかったからな。
あったな恐ろしいもの、忘れずあまねく覚えておったら、俺はとっくに、気ぶれであろうさ。
俺は紛れもなく、人斬りであるよ。人斬りが人斬りたることの恐ろしさを身をもって知る、恐らくは最後の世代になろうな。

故に、俺がごたる男と、おまんが一緒になるなどということは、絶対にあってはならんのさ。
俺は、臆病な小物じゃけ。何もかもうっちゃらかして、よっぽどおまんをさらって、誰も知らぬところで二人で暮らしてえと思ったかわからん。
けんど、新撰組なんて、薩長ばらにとっちゃ兇状持ちと同じじゃ。しらみつぶしに探し出して、地の果てまで追い詰めるだろうさ、この箱館の戦なんて、まさにその縮図じゃないか。

そったな俺となど一緒になってしもうたら、一生追われの身となってしまう。安穏とした幸せとは、程遠い。
もし俺が斃れれば、残されたおまんはどうなる、もしも、ややが居ればその子はどうなる。

嫌じゃ。それだけは。




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