工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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55: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:22:21.21 ID:X17K8DuQ0


 音楽室を何一つ見逃さないようにゆっくりと見渡す。
 忍が作った広いスペースの跡、アコースティックギター、マイク、アンプ、ノートパソコン。
 そこにはいつも通りの光景があった。
以下略 AAS



56: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:23:40.29 ID:X17K8DuQ0


 3、2、1。
 ボディでリズムを取って、震える指で最初の弦を揺らした。
 シンプルなギターのリフを丁寧に弾いていく。
以下略 AAS



57: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:24:22.24 ID:X17K8DuQ0


 残響が消えて、僕はできることをやったという実感があった。
 ただ、これを確かな言葉と一緒に渡さないと何も始まらない。

以下略 AAS



58: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:24:50.24 ID:X17K8DuQ0


 転ばないように、でも、できるだけ速く。
 ここから一番近い駅へと息を切らして走る。

以下略 AAS



59: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:26:09.52 ID:X17K8DuQ0


 ちょうど電車が入ってくるのが遠くに霞んで見える。
 もう時間がない。間に合わなかったときのことなんて考えたくない。

以下略 AAS



60: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:27:15.87 ID:X17K8DuQ0


『さっき録ったから、電車の中で聞いてくれよ』

 たったそれだけの言葉を、僕も言えずにいた。
以下略 AAS



61: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:28:08.89 ID:X17K8DuQ0


「……いつでも待ってるから」

 その言葉は、祈りのように、静かに響いた。
以下略 AAS



62: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:28:56.70 ID:X17K8DuQ0
 

 電車の発車音。

 改札口を出て、賑わいだした街へと歩みを向ける。
以下略 AAS



63: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:30:21.65 ID:X17K8DuQ0


 昼前の街は騒々と、少なくない人が僕の横を通り過ぎていく。
 それでも僕の世界は、あの瞬間のまま止まっていて。
 世界中にひとりだけみたいだなぁなんて小さくこぼした。
以下略 AAS



64: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:31:20.18 ID:X17K8DuQ0

 
 いつだって鮮明に思い出せる。
 誰よりも早く来て、必死に練習を繰り返す、光に満ちた瞳を。
 勢いと努力で突き進もうとするくせに、できないときは弱気になって、できるとバカみたいに喜んで。
以下略 AAS



65: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:32:13.44 ID:X17K8DuQ0





以下略 AAS



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