57: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:24:22.24 ID:X17K8DuQ0
残響が消えて、僕はできることをやったという実感があった。
ただ、これを確かな言葉と一緒に渡さないと何も始まらない。
録り終わった曲をさっと確認して、MP3プレイヤーに入れていく。
まぁ、これは安物だし、そのままあげればいい。
最初の頃、忍がおもちゃみたいにくるくる回していたっけ。
中途半端な待ち時間が、この部屋での日々を呼び起こしていく。
あんなことも、こんなことも、これから全部想い出になってしまうことが寂しかった。
パソコンやら機材やらをいじくりまわしている間に、時間はじわじわと過ぎる。
走って追いつけるデットラインはもうすぐそこまで来ていた。
はやく。はやく。
普段のんびりでしか使ってないパソコンだけどさ、たまには頑張ってくれよ。
ライムグリーンのバーが70%, 80%と少しづつ進捗を刻んでいく。
ピコン。もう画面も何も見ないで、引っこ抜くと、蓋をしてMP3プレイヤーに戻す。
たったそれだけを握って、僕は朝方の街へと駆け出した。
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