工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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58: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:24:50.24 ID:X17K8DuQ0


 転ばないように、でも、できるだけ速く。
 ここから一番近い駅へと息を切らして走る。

 静か過ぎる街は、朝の太陽を反射して、きらきらと旅立ちを祝福するかのようだった。
 それが僕には眩しすぎて、目を細めながら順路を往く。


 僕らが毎日並んで帰った道を飛ぶように駆けていく。
 なんてことなかった会話が過ぎていく景色にちゃんと残っている。

 ひとつ、ひとつを手に取って確かめられたら良かったのにな。
 きっと寂しい気持ちで僕は泣き出してしまうんだろう。

 そんな感傷さえも置き去りにするように、ただ走った。
 駅が見えてくるころには体力も気力も限界に近かったけれど、それでも諦めたくない。
 つらくてもゴールまでは走り続けていたい。


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