119: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/31(土) 22:13:26.32 ID:nFUBVzrv0
「済みましたか?」
駐車場の入り口辺りに自販機があって、その傍のベンチに楓さんが座っていた。
120: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/31(土) 22:15:46.97 ID:nFUBVzrv0
「大変だったでしょう? なりふり構わない所がありますから、この人」
「いえ。とても……アー、嬉しい、でした」
アナスタシアが微笑むと、楓さんも我が事のように嬉しそうに笑みを浮かべた。
121: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/31(土) 23:56:26.89 ID:nFUBVzrv0
時刻は宵の口。雲があるから辺りはもう夜の暗さだ。
フェスが行われている特設会場の喧騒は、数キロ先からでも届いてきていた。
お台場の空は広く、ステージの光が遠目にも薄ぼんやり浮き上がって見えた。
122: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/03/31(土) 23:59:15.00 ID:nFUBVzrv0
『みなさーんっ! 今日は楽しんでいってくださいねーっ!!』
『しまむーしまむ、名乗り忘れてるよ! ほらっ、私達ー?』
『わわわっ、そ、そうでしたぁ!』
『ふふっ……それじゃ、行くよ』
123: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 00:19:45.90 ID:Q/ZSCgdu0
合同フェスとある通り、うちの部署からだけでなくプロダクションのあらゆるアイドルが出演する。
色んなカラーのアイドルが一堂に会する、まさにお祭り騒ぎだ。
ここだけの話、一観客としても今日の日をずっと楽しみに待っていた。
124: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 01:15:05.73 ID:Q/ZSCgdu0
やがて。
満面の笑みに、徐々に翳(かげ)が降りてきて。
憧れが上げた無意識の手を、理性と諦めが下げる。
125: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 01:53:08.25 ID:Q/ZSCgdu0
「次だ」
「……シトー?」
「レイジー・レイジー。志希とフレデリカの出番だよ」
「……!!」
126: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 01:57:41.71 ID:Q/ZSCgdu0
アナスタシアは、まばたきもしなかった。
楽しそうに。嬉しそうに。
眩しそうに。羨ましそうに。
127: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 02:13:15.82 ID:Q/ZSCgdu0
「ア……」
一度零れた心は抑えることができない。
いきなり気温がぐっと下がり、雲は濃さを増した。
128: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 02:14:46.66 ID:Q/ZSCgdu0
来た。
129: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 02:30:13.93 ID:Q/ZSCgdu0
一曲目が終わり、会場はもう白く霞むほどの雪に包まれている。
興奮と困惑がない交ぜになった不思議なムード。
スタッフ達が動き出すかの瀬戸際に、志希が声を張り上げた。
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