124: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/04/01(日) 01:15:05.73 ID:Q/ZSCgdu0
やがて。
満面の笑みに、徐々に翳(かげ)が降りてきて。
憧れが上げた無意識の手を、理性と諦めが下げる。
ステージを見上げる顔は、それでも微笑を浮かべていた。
「いつも、そうでした」
「プレクラスニイ……素敵なもの、いつも、キラキラ光っています。
だけど、アーニャは、それをずっと遠ざけてしまいますね。
ズヴェズダ……星も、雲で隠して、凍らせて……」
優しい子だ。少ない会話からでも十分にわかる。
家族からたくさんの愛を受けて育ち、この世の色んなものを愛しながら、必ずしも世界には愛されなかった。
そんな彼女が身に着けたのは、世界に対する距離感と精一杯の微笑。
だけどそれでも、もう一歩を踏み出してみたかったんだろう。
あの二人の手に引かれて、家族に守られる外の世界を見ようと思ったんだろう。
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