22: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:44:15.17 ID:eKF+OPoOo
「いけないことは無いんだけど、余りにソツが無さ過ぎる。
アイドルってのは、もっと何かしら強いフックを持ってなくちゃ」
すると俺の意見を引き継ぐように律子が千早にこう言った。
23: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:46:24.85 ID:eKF+OPoOo
「田中さんは確かに優秀だよ。でも初めから完成されてる"優等生"じゃ
将来性にも期待できないしファンも自分を重ねられない。応援の幅も狭いからね。
……即戦力は惜しいけれど、後々の伸びしろを考えればこれは彼女の為でもある」
24: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:48:43.88 ID:eKF+OPoOo
実を言うとアイドルになるのは簡単なのだ。
オーディションの中で上手く踊り、上手く歌い、上手い具合に夢を語り、
そこそこのルックスさえあればそれなりの確率でどこかの事務所には潜り込める。
25: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:49:29.00 ID:eKF+OPoOo
そう、本当に難しいのはアイドルになることじゃなくて、アイドルで居続ける方なのだから。
「取り返しがつかない心の傷を作る前に、諦めさせるのも優しさだよ」
26: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:52:10.81 ID:eKF+OPoOo
===4
「まあ十中八九の確率で、私は無理だと思いますよ」
律子が同意し、俺もその言葉に頷いた。千早だってそうだ。
27: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:53:58.14 ID:eKF+OPoOo
「君、どうしてこっちの会場に?」
「……事務所に行って尋ねたら、アナタはこちらにいると言われたので」
28: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:55:45.31 ID:eKF+OPoOo
「私、765プロの皆さんが大好きで! 今回のオーディションもソレで応募して!
中でも千早さんと春香ちゃ……さんが好きだってことを恵美さんに話したら――」
「アタシがね、ちょびっと待つことになるけどさ、
29: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:57:11.69 ID:eKF+OPoOo
「あの子、恵美の知り合いだったのか?」
「ううん。今日初めて会ったトモダチだよ? 控え室の雑談で知り合ってさ〜。
アタシがプロデューサーたちを待ってたから、この後初遊びってことで一緒にファミレス行く予定なワケ」
30: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/08(木) 23:59:17.62 ID:eKF+OPoOo
そう言って、自信なさげな表情で恵美を見つめる田中さん。
それは彼女の面接時、俺が一瞬だけ見ることのできた不安げな表情とピッタリ一致して――
この瞬間、俺はうっかり見過ごしていた大きな違和感を思い出したんだ。律子の言ってた言葉が蘇る。
31: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/09(金) 00:00:40.56 ID:Ui02l9zqo
だがこの時、今までジッと黙っていた最上静香が立ち上がった。
「あの、お喋りするだけなら先に私の用事を済ませてもらってもいいですか? 私には時間がないんです」
32: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/09(金) 00:01:50.43 ID:Ui02l9zqo
「うん、だから、さ。期限付きでのアイドル活動を提案したのが俺なんだよ。……ほら、この前は君に酷い迷惑をかけたから」
「なっ、なにを勝手なことをしてるんです!? それじゃあ、父が私の説得を素直に受け入れたのは――!!」
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