32: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/09(金) 00:01:50.43 ID:Ui02l9zqo
「うん、だから、さ。期限付きでのアイドル活動を提案したのが俺なんだよ。……ほら、この前は君に酷い迷惑をかけたから」
「なっ、なにを勝手なことをしてるんです!? それじゃあ、父が私の説得を素直に受け入れたのは――!!」
だが、この弁明は少女の怒りをさらに激しくさせただけだった。
裏で大人たちが密約を交わしていたことを知った少女は声も上げられぬほどに激高し、
鞄を抱きかかえたまま乱暴にイスへ腰を下ろすと。
「こんな風に合格を許されても……最低……!!」
それは喜びを吐き捨てるように。
「うえぇーっ!!? わっ、私、今日のオーディション受かってるんですかぁっ!!?」
そして、同時に遠くから聞こえて来た大きな叫びも喜びの声。
……千早め、口を滑らせたな。おまけになんてタイミングで重ねるんだ!
「プ、プロデューサー? ねぇちょっとさ……」
少々遠慮がちに呼びかけられ、俺と恵美の視線が合う。
彼女がこの場を包む険悪なムードを塗り変えたいと思っているのは明らかで、
そのために俺が協力できる方法はたった一つしか残されてない。
「や、ヤター! し、静香も可奈も受かったんだね〜」
「あ……ああ、まぁ……そうだ! 二人ともオーディション合格だ。二人ともこれから同じ765プロだ!」
「お、おおー、ホントに? 友達が二人も受かったから、あ、アタシもなんだか嬉しいなぁ〜……」
だが恵美よ。この方法には逃れきれない欠陥が――。
41Res/42.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20