93:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:53:45.42 ID:QxgIwWOp0
席を立ち、ライブ会場へと歩き始めました。
一歩進むことに、ピアスが、身体が、重さを増していきます。
私はプロデューサーさんにばれないように、身体を引きずり歩きました。
94:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:55:39.89 ID:QxgIwWOp0
再び揺れ始めた選択の中で、私は頭を抱え、その迷いを森久保は隠し、
プロデューサーさんとライブ前の最終確認をしていると、
出番一つ前の子のライブが始まり、あっという間に、終わりました。
95:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:57:40.56 ID:QxgIwWOp0
「人の視線が怖いんです。常に見られている気がして、常に試されている気がして、笑われている気がするんです。
ステージに立ったらみんな、私の歌や踊りを見て、くすくすと笑い始めるに違いありません」
浅はかな私は直前になって、自分の病気がいかに深刻かを告げ、この場を逃げようとしたのです。
96:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 23:59:14.05 ID:QxgIwWOp0
「緊張しやすい子だと思ってはいたが、森久保がそこまで人の視線に怯えているとは知らなかった。
今まで気づかずに傷つけていたこともあると思う。許してほしい。それで、誤解せずに聞いてほしいんだが」
プロデューサーさんは言葉に詰まりました。迷っているようでした。
97:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:01:13.65 ID:GJMDUn0X0
そこは嘘でも、「誰も見ていない。気にするな」と言わなければならない場面で、
この人は真逆なことを言いました。
私は、その言葉が私の心に深い傷を与えるのではと身構えたのですが、
98:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:03:40.97 ID:GJMDUn0X0
「俺は森久保がアイドルになれると思った日からずっと、森久保を見てきた。
思い出してみろ。ラジオの収録、服の撮影、いろいろなことを経験し、それを乗り越えてきたじゃないか」
「それは嫌々。森久保がやらないと他の人に、ひいては自分に迷惑がかかると思ったからやっただけで」
99:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:04:17.34 ID:GJMDUn0X0
プロデューサーさんは私を信じている。
心の中で繰り返し、呟きました。
100:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:05:48.20 ID:GJMDUn0X0
新人アイドルのステージといっても、合同のライブ企画ですので、お客さんの数はなかなかの規模でした。
赤、青、黄色、たくさんの数のサイリウムが私の目の前で揺れています。
101:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:07:00.66 ID:GJMDUn0X0
イントロの中で、私はこの曲のある場面のことを思い出しました。
この曲は前半と後半に一度ずつ、ウィンクを飛ばすシーンがあるのです。
私はウィンクをどこに飛ばせばいいのでしょう。
102:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:08:01.50 ID:GJMDUn0X0
私はウィンクをどこに飛ばせばいいのでしょう。
じゃがいも、じゃがいも、ウィンク、ウィンク、と心の中で繰り返し、唱えました。
103:名無しNIPPER[saga]
2018/01/24(水) 00:08:59.07 ID:GJMDUn0X0
目を覚ますと白の天井。
会場に設けられた医務室のようで、横にはプロデューサーさんが座っていました。
プロデューサーさんは、私が倒れた後のことを淡々と話しました。
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