34: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:20:51.49 ID:Qezuh/qr0
時刻が正午を回る頃、私達はみんなで指定の場所を訪れました。
藤崎八幡宮の裏手は川沿いの細道で、人通りは全くありませんでした。
そんな道路のど真ん中に、座敷がありました。
35: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:21:24.81 ID:Qezuh/qr0
「な、何をしたんですか!?」
「安心しい。寝とるだけたい」
「でも、だからってこんなこと、どうして!!」
36: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:22:02.12 ID:Qezuh/qr0
だんっ、と叩き付けるようにグラスを置いて狸が気勢を上げます。
「そもそも小日向は俺(おい)らの長年の怨敵! こげんする理由は元より有り余っとる!」
37: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:22:57.64 ID:Qezuh/qr0
口を開いたのは、檻の近くにじっと座っていた狸。
化けていてもすごく小柄で、長い白髪のせいで目も口も見えませんでした。
多分、この中では長老格です。
38: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:23:42.70 ID:Qezuh/qr0
「…………黙って聞いてりゃ手前勝手なことばかりぐだぐだぐだぐだ…………」
「……そなたー?」
39: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:24:34.42 ID:Qezuh/qr0
「うんむ」
と頷くが早いか、白毛玉のお爺ちゃんは茶釜の蓋をぺっと開けて、一升瓶の焼酎をどぼどぼどぼどぼ注ぎ込みます。
かと思えば、茶釜がいきなり唸りを上げて震え出しました。
40: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:25:23.37 ID:Qezuh/qr0
「ひこさん、ぶぜんぼう……」
飛び去る空中座敷。
UFOのようなそれを呆然と見送りながら、私は耳慣れない言葉を復唱していました。
41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:26:24.17 ID:Qezuh/qr0
―― ホテル ロビー
美穂「お父さん、お母さん……」
42: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:27:14.53 ID:Qezuh/qr0
蘭子「甘美なる女神……。よもやあの者も、邪なる霊獣の眷族であったとは……」ショボン
P「十分ありえる話だ。あの子はとても立派な尻をしていたからな……」
43: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:27:57.78 ID:Qezuh/qr0
噂をすれば、と言うべきでしょうか。
ホテルのロビーに飛び込んできたのは、まさに私達が話題に出した子でした。
44: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:28:56.68 ID:Qezuh/qr0
「くんくんくん」
「ふんふんふん〜」
「くんかくんか、はすはす、ふすー」
「はふはふ〜、すぅ〜っ、ふはふぅ」
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