41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:26:24.17 ID:Qezuh/qr0
―― ホテル ロビー
美穂「お父さん、お母さん……」
蘭子「み、美穂ちゃん。きっとなんとかなりますから……っ」
美穂「……うん……」
周子「とはいえ相手さんは予想以上だったね、なんか。なんてったっけ、あのナントカ山……」
芳乃「――彦山豊前坊。または、英彦山大権現。福岡と大分の間にかかる、霊験あらたかなる修験山ー……。その頂きに座する、大天狗なのでしてー」
紗枝「うちも聞いたことあります。鞍馬山僧正坊と同格、九州天狗の総元締めやいう話どすえ」
蘭子「だ、だいてんぐ……」
周子「向こうのフカシって線は無いの? そりゃいくらなんでもビッグネームすぎるよ」
紗枝「いくら嘘ついたかて、化け狸は自在に空を飛べたりしまへん。狐もおんなじどす」
美穂「そう……そうです。仮に鳥とかに化けても、結局は偽者ですから。実際に自分が持ってない器官を増やしても、自由に使えるわけがありません」
蘭子「偽りの翼をもってして、蒼穹を駆けることは叶わぬか……」
(訳:じゃあ、やっぱりあれは狸さんだけの力じゃないんですね……)
紗枝「せやね。飛ぶいうんは、それくらい難しいことなんどす」
紗枝「仮にそないなこと出来る狸が万一おるとしたら、それこそ伊予の隠神刑部やら阿波の金張、それか京の先代偽右衛門くらいの大物中の大物に限られますやろな」
芳乃「そして何より、あの茶釜ー……。あれは恐らくー、天狗由来の宝物、茶釜えんじんではないかとー」
美穂「茶釜エンジン?」
芳乃「酒精を呑みて飛ぶー、摩訶不思議の浮遊からくりなのでしてー」
紗枝「わいんやったり日本酒やったり焼酎やったり、型式で燃料が変わるてお父はんは言うてはりました」
周子「まやかしの類じゃないってわけか……。う〜〜〜〜ん、空なんか飛ばれちゃどうしたもんやら……」
P「………………」
蘭子「我が友?」
P「ん? ああすまん、海老原さんについて考えてた」
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