勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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219: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/03(日) 15:22:27.35 ID:IMIN4WEW0
勇者の脳裏に、夕方目にした光景が蘇った。
宿屋の主人が必死に頭を下げていた相手。
あれは高級官員などではなく、非合法の商いを取り扱う闇商人だったのだ。
渡していたのも、おそらく麻薬だろう。

以下略 AAS



220:名無しNIPPER[sage]
2018/06/06(水) 03:49:22.06 ID:bKe36NXDO



221: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/06(水) 16:44:00.31 ID:YxEXL6rxO
盗賊「大当たりだ、魔女さんよ。俺達ハザラ族は、力のある騎馬民族でも交渉技術に長けた商業民族でもなかった」

盗賊「周囲の外敵に怯えながら小さな畑を耕す、泥臭い農耕民族だったんだ」

盗賊「金もねェ、人もねェ、住む場所もねェ。それでも、なんとか貧しいなりにやりくりできていた。瀬戸際の所でな」
以下略 AAS



222: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/06(水) 16:49:29.71 ID:YxEXL6rxO
ハザラ族は闇商人の話を巡って、盗賊派と宿屋の主人派に分裂した。ハザラの魂を守り、鉄門街道で生きてゆく者。ハザラの魂を売り、闇商人についてゆく者。

半数の同胞が盗賊の下を離れた。妻も息子を連れ、出て行ってしまった。盗賊に残されたのは百名ほどの仲間と高潔なハザラの魂のみ。

盗賊「だが、気持ちだけでは仲間を養うことはできない」
以下略 AAS



223:名無しNIPPER[sage]
2018/06/07(木) 01:47:07.16 ID:DVCYn8HDO



224: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/09(土) 00:02:54.58 ID:k+x3Sqx80
盗賊「こいつはもっと南方から流れてきたんで、ハザラ族の事情をまったく知らない。盗賊としての俺を追っかけてきただけなんだ」

女盗賊「お頭、どうしてあたしに教えてくれなかったんですか」

盗賊「余所から来たテメェに、いらぬ心配かけると思ったからだ」
以下略 AAS



225: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/09(土) 00:06:44.53 ID:k+x3Sqx80
盗賊「生きていくためだ」

魔女「そうは言っても、王国軍が正規の討伐軍を出してみな。キミ達は枯れ葉のように吹き飛ばされ、踏みにじられ、ハザラ族丸ごと滅ぼされてしまうよ」

魔女「地方貴族や下級官吏の財産なんて知れたものさ。ボク達は、そんなものとは比べ物にならないほど大きな標的を狙ってる」
以下略 AAS



226: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/09(土) 00:13:08.30 ID:k+x3Sqx80
闇商人「ぢょっど待っでェェ〜〜!」

闇商人を捕縛した。供の者も連れず呑気に一人で現れたので、縄で縛りあげるのは造作もないことだった。

闇商人「ホ、ホントになァ〜んにも知らないんですゥ! 私はしがない闇商人でありましてェ〜、あァ〜、ガンジャを売って小銭を稼ぐと申しますかァ〜、えェ〜、ここが私の農園でありましてェ〜」
以下略 AAS



227: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/09(土) 00:18:54.21 ID:k+x3Sqx80
勇者はひったくるように盗賊から聖剣を奪い取ると、ゆっくりと引き抜いた。

勇者「地獄で永遠に罰を受け続けるんだな。この世にいてはならない。いてはいけない存在なんだよ、お前は」

闇商人「ちょ、ひ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
以下略 AAS



228: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/06/11(月) 23:50:05.17 ID:VfWAULhF0
闇商人は盗賊の砦で『教育』を受けた後、大富豪の屋敷へ送られることとなった。
能力のある者ならば、たとえ仇敵だろうと手を差し伸べる。
盗賊の心は溶岩のように煮え滾っているだろう。
しかし、私情よりも利を選んだ。
立派な男だ。
以下略 AAS



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