10: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/02(土) 23:04:26.17 ID:vAzM7c8Y0
研究室の扉を蹴破った。普通に開ければ良かったのだが、興奮と焦りのあまり足が出てしまったのだ。
魔女は鏡に向かって、くせ毛を整えている最中だった。
魔女「肚が決まったみたいだね。曇りのない、晴れ渡った空のような目をしている」
11: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/03(日) 23:22:06.08 ID:Dt2XuTWJ0
鏡を覗き込んでみると、瞳の中に蒼白く光る五芒星があった。
魔女「それは勇者であることを示すペンタグラム。神様がキミを勇者として認めてくださった証だよ」
勇者「勇者になると、何かいいことがあったりするのか?」
12:名無しNIPPER[sage]
2017/12/07(木) 22:31:08.84 ID:5XxIlBc30
期待
以前、別トリップでやってた?
13: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/11(月) 01:34:13.77 ID:ivHOYJAr0
バルフの郊外、竹林を進んだ先にその屋敷はあった。
敷地の四方を高い柴垣と塀で二重に囲み、玄関口の門構えはアルマリクの立派な城門にも引けを取らない。
屋敷の西側にはモザイク様式の土蔵が立ち並ぶ。
中には米や麦を始め、東西南北全ての地域から入手した食糧が蓄えられているのだ。
もちろん、賄賂として皇帝や高級役人に献上するための貴重品もあった。
14:名無しNIPPER[sage]
2017/12/11(月) 09:04:25.56 ID:Ivh/A9Kfo
これは期待
15: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/12(火) 13:32:00.79 ID:MgU8F78y0
かつて先代勇者と共に世界を駆けた魔女。よく資金援助をしてやったものだが、魔王討伐という役目を終えた今、自分に何の用があるのか。客間に入ると、二人の少年少女を伴った魔女が、椅子に腰掛けていた。
魔女「久しぶりだね、大富豪」
大富豪「数年ぶりか。相変わらず美しいな。人間か妖精か、見ただけでは分からん」
16: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/14(木) 10:16:54.85 ID:F+cKSKnpO
面白い。大富豪が最初に思ったのはそれだった。十歳に満たない少女にしては、やけに洗練された文を使う。涙を誘う場面や心打たれる場面もなくはない。しかし、全編を通して何やら引っかかるものがあった。
大富豪「……なるほどな。核心を突いている。そこは認めよう。ただ少し気になる点がある」
大富豪「なぜ官能小説をベースにしたのだ? 誰に向けて書いた?」
17: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/14(木) 16:14:07.14 ID:hMtWC+MdO
勇者「大富豪さん、綺麗な人だったなぁ……。なんつーか、唐国の美女って感じ?」
魔女「アレは30を超えたオッサンだよ。まだ女装癖が治ってなかったみたいだけど」
勇者「え」
18:名無しNIPPER[sage]
2017/12/14(木) 17:01:16.60 ID:dGUKIfIDO
乙
期待
19: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/15(金) 14:46:47.78 ID:sMyet7Na0
町から少し離れた小高い丘の上に、黄金色の宮殿が煌々と輝いていた。先代勇者の屋敷だ。
勇者「ついに先代勇者と対面する日が来るんだな……」
魔王を倒した人物。一生目にすることはないと思っていた、お伽噺の中の英雄。
20: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/16(土) 17:26:38.03 ID:J5eINESa0
門をくぐり、花畑に挟まれた小道を歩く。
先代勇者の屋敷には二つの門があるのだ。
一つは花畑を鑑賞する小道へ繋がる門、もう一つは屋敷の中へ繋がる門。
最初の門は誰でも無料でくぐることができるが、二つ目は身分を証明するものが無ければ入れない。
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