勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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13: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/11(月) 01:34:13.77 ID:ivHOYJAr0
バルフの郊外、竹林を進んだ先にその屋敷はあった。
敷地の四方を高い柴垣と塀で二重に囲み、玄関口の門構えはアルマリクの立派な城門にも引けを取らない。
屋敷の西側にはモザイク様式の土蔵が立ち並ぶ。
中には米や麦を始め、東西南北全ての地域から入手した食糧が蓄えられているのだ。
もちろん、賄賂として皇帝や高級役人に献上するための貴重品もあった。

大富豪「賄賂は好かんが、生き残るためなら何だって利用するさ」

大富豪は長い黒髪をそよ風になびかせながら、孔雀の羽根で作った扇を振った。
この世に生を受けて32年。金に生き、金に死ぬ。父親の生き方を目標として、がむしゃらに稼いできた。
西の商人から安価で仕入れた品物を、今度は東から来た商人に倍の値段で売りつける。これだけでも多くの財を成すことができた。
しかし、父親の築き上げた財と比べれば、足元にも及ばない。

そこで大富豪の特権を活かして、彼は『国家公認の密輸経路』を確立したのである。
世界各地の豊かな土地を買収し、獲れた作物を定期的に大富豪の蔵へ持ち運ぶ。
これは半ば違法行為のようなものであったが、関所の役人さえ大富豪は買収してしまったので、お咎めなど一切無しだった。

大富豪「今のバルフ候……元勇者が魔王を倒してから、この国は規制が緩くなった。いや、なりすぎていると言うべきか」

大富豪「密輸経路を手軽に生み出せるようになったのはありがたいが、他国の商人の干渉が激しくなっている」

大富豪「このまま何もせず指を咥えて見ているようでは、いずれ貴重な資源が野犬共に食い荒らされてしまうだろうよ」

使用人「ご主人様、魔女様がお目見えです」

大富豪「そうか。どういう用件か知らんが、客間に通せ」


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