11: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/03(日) 23:22:06.08 ID:Dt2XuTWJ0
鏡を覗き込んでみると、瞳の中に蒼白く光る五芒星があった。
魔女「それは勇者であることを示すペンタグラム。神様がキミを勇者として認めてくださった証だよ」
勇者「勇者になると、何かいいことがあったりするのか?」
魔女「大義ができる。叛乱に勇者の聖戦という意味を持たせられる。兵が集まりやすくなるだろうね〜」
勇者「それだけかよ。強力な魔法が撃てたり、剣の腕が上がったりすることは?」
魔女「本人次第。ま、そんなものさ。みんな勇者の力に夢を見ているみたいだけど」
魔女は一息つくと、グラスの水を飲み干した。
魔女「さて、まずは土台を安定させないとね」
勇者「土台?」
魔女「農作のための土地、商いのための都市、輸送するための糧道、それから軍の指針となる法の制定」
勇者「色々とやらなければならないことが、山積みなんだな。厳し過ぎんだろ……」
魔女「大丈夫、土地と都市については目処が立ってるんだ。ある程度の資源や賑わいがあって、王都アルマリクからも程よい距離の拠点」
勇者「そんな都合の良い場所などあるのか?」
魔女「あるとも。それはここ……バルフさ」
勇者「バルフったら、まだ先代勇者様が治めている街だろ。どうすんだよ」
魔女「奪う」
勇者「先代勇者様を追放して?」
魔女「追放するだけじゃ甘い。魔王を倒した名声で、すぐに力を盛り返してくるよ。ここは、いっそ殺してしまおう」
魔王を倒し、世界に平和をもたらした先代勇者。その首を斬り落とす。話が飛躍し過ぎていて、勇者は光景を全く想像できなかった。
魔女「ただ、バルフ候は腐っても元勇者。真っ向から斬り込むのは下策だろう」
勇者「暗殺?」
魔女「そう。友好的な関係を築いて、気を緩めたところを背後から刺し殺す方がいいかも」
勇者「でも、バルフ候に会うツテなんてあるのかよ。普通じゃ会わせてもらえないんだろ?」
魔女「そこは任せて。魔女の顔は広いからね」
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