勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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19: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/15(金) 14:46:47.78 ID:sMyet7Na0
町から少し離れた小高い丘の上に、黄金色の宮殿が煌々と輝いていた。先代勇者の屋敷だ。

勇者「ついに先代勇者と対面する日が来るんだな……」

魔王を倒した人物。一生目にすることはないと思っていた、お伽噺の中の英雄。

魔女「ちょっとストップ」

勇者「いきなりなんだよ」

魔女「人を待っている」

勇者「人って誰だ? 二人で潜入するんじゃないのか?」

魔女「大富豪が潜入のスペシャリストを派遣したみたいでさ。何だかんだ手伝ってくれるんだよね、彼」

世間話に花を咲かせていると、十字路の角から茶髪の少女が手を振って駆けてきた。

間諜「魔女さん、勇者さん! 門の前で待ち合わせでしたよね。遅れてすみません」

魔女「お〜、間諜君! 安心して、ボク達もさっき来たばかりだから」

潜入のスペシャリスト。今回は薬師に化けて先代勇者と接触するらしい。
魔女と勇者が外部から付け入る隙を探すのと並行して、間諜が内部から先代勇者の体制を腐らせていくのだ。
先代勇者の傍に仕えているであろう『知恵者』を勇者側へと引き抜く。それが間諜に任せられた任務である。
相当難しい任務だが、大富豪が珍しく大枚をはたいて雇った間諜だ。雑な仕事はこなさないだろう。

勇者「その両耳に着けている銀色の装置は何なの?」

間諜「あ、えと、ヘッドフォンです。なんでも『壁に耳あり障子に目あり』を体現する魔道具らしくて」

勇者「へぇ〜。薬師という割には、ちょっとチャラい恰好な気もするけどな」

間諜「派手さであれば、魔女さんの方が圧倒的に勝ってますよ。全身真っ白で氷の靴なんて、予想の斜め上行ってますもの」

勇者「ま、そりゃそうだよな」


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