15: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/12(火) 13:32:00.79 ID:MgU8F78y0
かつて先代勇者と共に世界を駆けた魔女。よく資金援助をしてやったものだが、魔王討伐という役目を終えた今、自分に何の用があるのか。客間に入ると、二人の少年少女を伴った魔女が、椅子に腰掛けていた。
魔女「久しぶりだね、大富豪」
大富豪「数年ぶりか。相変わらず美しいな。人間か妖精か、見ただけでは分からん」
魔女「キミはだいぶ老けた」
大富豪「世界が平和になってから、仕事が増えたのだ。皺の一つや二つ増えるだろうさ」
魔女の隣に座る少年と少女に目をやる。少年の瞳には、蒼白い五芒星が刻まれていた。
大富豪「新しい勇者を見つけたのか」
魔女「うん、意外とあっさりね。あとは伝説の聖剣を持たせて終わり。彼は真の勇者となる」
大富豪「聖剣の在り処は知っているだろう?」
魔女「知ってるよ。先代勇者様が大事に大事に身につけている剣。あれでしょ」
大富豪「盗むのか」
魔女「ううん、殺して奪い取るの」
大富豪「物騒だな。そうまでして新たな勇者を祭り上げて、お前は何をするつもりだ」
大富豪の前に、原稿の束が置かれた。勇者の妹が書いた風刺小説。思わず魔女を見る。
魔女「勇者の妹さんが書いた小説だ。彼女はボクやキミより何倍も世の真理が見えている。なぜ国はあるのか。なぜ民はあるのか」
魔女「これを読み終えた時、きっとキミはボクらに協力せずにはいられなくなるはずさ」
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