勇者「よーし、いっちょ叛乱でもするか!」
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17: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2017/12/14(木) 16:14:07.14 ID:hMtWC+MdO
勇者「大富豪さん、綺麗な人だったなぁ……。なんつーか、唐国の美女って感じ?」

魔女「アレは30を超えたオッサンだよ。まだ女装癖が治ってなかったみたいだけど」

勇者「え」

バルフの目抜き通りに面した食堂。勇者と魔女は向かい合わせに座っていた。二人きりで昼食を摂りに来たのだ。妹は大富豪の屋敷に暫く留まることとなった。
二階の窓からは通りを行き交う人々がよく見える。新たな税が課せられているにもかかわらず、不思議と町は活気に満ち溢れていた。

魔女「……大丈夫かい?」

勇者「大丈夫って何が?」

魔女「昼食を終えたらいよいよバルフ候の屋敷に乗り込むわけだけど、心は決まった?」

勇者「あ、ああ」

魔女「一度決めたら、もう後戻りはできないよ。沢山の血が流れる。想像を絶する程のね。キミの大切な人も、キミ自身も死ぬかもしれない。それでも、国に抗う覚悟はあるかい?」

勇者「戦争は嫌だ。でもこのまま我慢の日々を続けていても、意味はない。闘うか、死ぬか。選べと言われたら、闘うしかないだろ」

魔女「そうか、分かった。キミがそうなら、ボクも覚悟を決めるよ」

料理が運ばれてきた。白い麺が盛ってある大皿と椀がふたつ。椀には唐辛子をすり潰して作ったと思しき赤いスープが、旨そうな匂いを漂わせていた。箸でかき混ぜると、サイコロ大に切った野菜が浮かんでくる。

魔女「さぁ食べよう食べよう! 腹が減っては戦はできぬ! 勇者君、多めに取っていいからね」

勇者「魔女、聞きたいことがある」

魔女「ん? どうした?」

勇者「重税を課せられているのに、なぜバルフの町はこうも賑やかなんだ? 荒れる気配がないのは何故だ?」

魔女「どっかから援助を受けてるんじゃない? 税を免除する代わりに、店の売上20%をバルフ候に収めるとか」

勇者「マジか……」

魔女「ただの憶測だけどね。浪費しか脳のない元勇者に思いつくとは考えられないし。ホントだったら、余程の知恵者が側についていると見える」

勇者「攻略が難しくなったわけだ……」

魔女「何言ってんの、まだまだこれから。スープ冷めちゃうよ? 早く食べなよ〜」


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