2:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:01:40.30 ID:y2wSW8Jko
いつからか、誰かが私のことをセレブと呼び始めた。
それは違う、そう答えることは簡単だったかもしれないけれど、私はそうしなかった。
誰もが憧れの目で私のことを見てくれた。それが私には嬉しかった。
3:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:07:55.89 ID:y2wSW8Jko
「みなさま、ありがとうございます! お〜っほっほっほ……ゴホッ、ケホッ!」
その後のアピールタイムでは私が必死に考えてきたセレブトークを披露した。
司会者さんの質問に何度かボロが出そうになったけど、どうにか答えきることができた。
4:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:09:41.68 ID:y2wSW8Jko
「優勝は……二階堂千鶴さんです!」
私の名前が呼ばれた。そう理解するまで少し時間がかかってしまった。
5:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:14:17.90 ID:y2wSW8Jko
それからしばらくして、私は友人たちと食堂で祝勝会を開いていた。
「ふぅ……。宣言通り優勝できて、一安心ですわね」
6:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:16:03.96 ID:y2wSW8Jko
「ゴホッ。あら、貴方は……?」
スーツの男性はがばっと頭を下げ、両手を突きだしてきた。いきなり現れて頭を下げられ、何がなんだかわからない。
もしかしてファンというものなのかしら。それともまさか、告白とか?
7:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:18:03.19 ID:y2wSW8Jko
「はい! どうか、うちの事務所の、アイドルになってもらえませんか?」
「お、お待ちくださいな。急にそんなこと言われましても……」
8:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:22:04.75 ID:y2wSW8Jko
「えっと、あの……。あ、アイドル……でしたか? それは一体、どんなことをするのでしょう?」
逸る気持ちを必死に抑え、私はそう聞いた。
9:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:23:16.13 ID:y2wSW8Jko
「セレブの中の……セレブ……!」
芸能人、人気アイドルになれば本当にセレブになることも夢ではない。
高級住宅街に住んで休みの日は海外旅行。食事も服も、最高級品をいつだって買うことができる。
10:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:25:31.30 ID:y2wSW8Jko
「ええ。この二階堂千鶴、喜んで引き受けさせていただきますわ!」
そう言うとプロデューサーの顔がぱぁっと明るくなり、もう一度深く頭を下げた。
11:名無しNIPPER[sage]
2017/10/21(土) 01:26:59.19 ID:y2wSW8Jko
「えっと……二階堂さんが空いている日はありますか?」
「そうですわね……次の土曜日でしたらお昼から空いていますわよ」
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