ジャンヌ・オルタ「台無しにしてあげます」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:43:57.12 ID:MlpcfRuf0
 開いて晒した口の中へ生温い水が注がれる。

 透き通るようだったはず。けれど今は半分濁った粘り気のあるそれ。一度彼女の中で泡立てられたその水が、僕の中へと入ってくる。

 初めはだらだら、と。握った拳を一つ間へと置いたくらいの距離、それを開けた上から垂らされて注がれて。やがて直接、唇を重ねながら送られる。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:45:21.47 ID:MlpcfRuf0
 静かにそっと、壊れ物を扱うような繊細さで頬を何度も撫でられる。

 胸は胸。腹は腹。足は足。それぞれ互いの同じ部分を重ねて……顔も、吐息が混ざり合うくらいのすぐ傍へと重ねながら。

 撫でられる。何度も何度も。交わした視線は結んだまま。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:46:07.32 ID:MlpcfRuf0
「……私は違う。他のサーヴァント達とは違う。過去の無い泡沫の存在。積み上げた歴史を持たない空虚な贋作。偽物の復讐者」

「だから届かない。どれだけ手を伸ばそうと、どれほど叫びを漏らそうと私はあなたに届かない」

「何をしようと私は贋作。何をしようと私は復讐者。憎悪に塗れた偽りの存在としてしか、私は結局いられない」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:47:05.45 ID:MlpcfRuf0
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:48:52.77 ID:MlpcfRuf0


 それが今は二人きり。素直になれない姿を見かねたジャンヌダルクがどこからか……きっとダヴィンチちゃん辺りなんだろうけど、どこからか手に入れて持ってきた小瓶。「せっかくの機会なのですから」と差し出されたそれを受け取った彼女は数分の問答の後に飲み干して。そしてそれからすぐ、僕の手を引いてこのマイルームへと連れ込んだ。

 鍵は掛けられずに空いたまま、入ろうと思えば誰でも入れてしまうこの部屋の中。けれど連れ込まれてから今この時まで、ここへは他の誰も入ってきていない。きっとわざと二人きりにしてくれているんだろう。もしかしたら扉の向こうで聞き耳を立てられているのかもしれない。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:50:02.11 ID:MlpcfRuf0
「叶うことを夢見て、たとえ叶わなくてもあなたの未来へ私を……望まれない影という形であってもいい、忌避される呪いとしてでも構わない、あなたの未来へ私を刻む」

「あなたにとっては迷惑な話でしょうね。私に想われたばかりにこれからの未来を穢されて。全部全部を台無しにされて」

「でも駄目。もう取り返しはつきません。潔く諦めてください」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:50:57.62 ID:MlpcfRuf0
 額に。瞼に。鼻に。頬に。唇に。

 キスが降る。胸を通して伝わってくる早く大きな鼓動と同じ荒い吐息を供にして、何度も何度もキスが降る。


以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:51:39.33 ID:MlpcfRuf0
「何かしら。不満かしら抗議かしら否定かしら。私を受け入れたくないと、そういうことかしら」

「オルタ」

「いいわよ、構いません。存分に拒んでください。無情に撥ね退けてください。それでも私は変わらない。あなたを想うまま、あなたのことを台無しにするのはやめません。私があなたを愛することはあなたにも止められませんから」
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:52:25.26 ID:MlpcfRuf0
 抱き締めたまま。後に「君を愛おしいと想うことを愚かだとは思わないけど」と添えて。頬へ触れた手の小さく震える感触を確かめながら、まっすぐはっきり紡いで言う。

 目の前の彼女はしん、と。数度むぐむぐと口を動かしながらも言葉は出さずに数秒沈黙。少しして、その沈黙を経てからぽつりと。


以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:53:02.56 ID:MlpcfRuf0
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