6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:48:52.77 ID:MlpcfRuf0
それが今は二人きり。素直になれない姿を見かねたジャンヌダルクがどこからか……きっとダヴィンチちゃん辺りなんだろうけど、どこからか手に入れて持ってきた小瓶。「せっかくの機会なのですから」と差し出されたそれを受け取った彼女は数分の問答の後に飲み干して。そしてそれからすぐ、僕の手を引いてこのマイルームへと連れ込んだ。
鍵は掛けられずに空いたまま、入ろうと思えば誰でも入れてしまうこの部屋の中。けれど連れ込まれてから今この時まで、ここへは他の誰も入ってきていない。きっとわざと二人きりにしてくれているんだろう。もしかしたら扉の向こうで聞き耳を立てられているのかもしれない。
連れ込まれて、押し倒されて。それからずっとこう。熱く濡れた吐息を吐きかけられながら、何度も重ねて言葉を注がれ尽くされている。
「炎で焼きましょう。地獄の底まで付き合ってもらいましょう。そう言ったことがありました」
「今の私にそれはできません。あなたを焼くなんてできない。地獄の底まで付き合ってもらえなくても構わない。あなたの終わりは私でなくてもいい。私の終わりにあなたはいてくれなくてもいい。あなたの未来はあなた自身が決めればいい」
「それでも影は落とします。あなたを望んで、私のここまで引き摺り下ろそうとすることはやめません」
「たとえ叶わないのだとわかっていても、それでも私は縋ります。まるで塵芥のような可能性だとしても、あなたに選ばれる未来を夢見ます」
「私が『夢見る』だなんて……そんなの、滑稽だとも自覚はしているけれど」
頬へ添う手はそのまま、親指の腹でそっと唇を撫でられる。
垂らされたときに外れて落ちた半透明の生温い水。口の周りを汚すそれを掬い上げて絡ませながら、その指を何度も何度も這わせて重ねる。
そしてそれから。じっくりと感じ入るように時間を尽くして間を置いてから、もう既に近かった距離を更に縮めて言葉の続き。
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