4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:46:07.32 ID:MlpcfRuf0
「……私は違う。他のサーヴァント達とは違う。過去の無い泡沫の存在。積み上げた歴史を持たない空虚な贋作。偽物の復讐者」
「だから届かない。どれだけ手を伸ばそうと、どれほど叫びを漏らそうと私はあなたに届かない」
「何をしようと私は贋作。何をしようと私は復讐者。憎悪に塗れた偽りの存在としてしか、私は結局いられない」
「今この時を生きる者なら届くのでしょう。過去を持つ本物なら届くのでしょう。あの聖女でさえ、きっとあなたに届くのでしょう」
「それでも私は届かない。あなたへ……あなたと並び立つその場所まで届かない」
誕生日。召喚されてからちょうど一年の節目、この今日を彼女の誕生日にしようとして開かれた誕生日会。ジャンヌダルクの提案によって実現されたその会で、僕は彼女を祝っていた。
気分が乗らないふうに振る舞いながら、口々に悪態や不満を吐きながら、それでもその会を受け入れて、主役として参加していた彼女。
カルデア内の全員。職員からもサーヴァントからも祝われて……素直にはなれず、恥ずかしさに焼かれ照れに振り回されて……けれど確かに祝われて、それに心を震わせていた彼女のことを僕も。
用意していたドレスを贈って、相談しながら数日をかけてやっとそれに決めた花束を手渡して、そうして僕も祝っていた。大広間で皆と一緒に。
「私はあなたに届かない……それはわかっているけれど、それでも私はあなたを望む。あなたが欲しい。あなたがいい」
「だから台無し。可哀想なあなたのことを、私は全部台無しにしてしまう」
「届かないなら落とすしかない。あなたに届かない私があなたのことを望むなら、私のここまであなたを落とすしかないのだから」
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