9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/10/08(日) 16:51:39.33 ID:MlpcfRuf0
「何かしら。不満かしら抗議かしら否定かしら。私を受け入れたくないと、そういうことかしら」
「オルタ」
「いいわよ、構いません。存分に拒んでください。無情に撥ね退けてください。それでも私は変わらない。あなたを想うまま、あなたのことを台無しにするのはやめません。私があなたを愛することはあなたにも止められませんから」
「オルタ!」
「……何かしら」
間を開けずに言葉を続ける彼女を制して止める。
止まってくれたのを確かめて、それから。今度は口を閉じながら止まってくれた彼女へ向けて、一度息を吐いてから言葉を送る。
「ありがとう」
言って抱き締める。
ぎゅう、と。強く深く。折れてしまいそうだ、と思わされるような細い身体。細いながらも柔らかな、触れていて心地のいいそれを腕に抱く。
「嬉しいよ。オルタにそう言ってもらえて。好きだ、って想ってもらえて」
「……」
「オルタは自分のことを悪く言うけど……そんなことない。オルタはそんなどうしようもない存在なんかじゃない。オルタからの好意を嬉しく思わないだなんてない。オルタを……オルタのことを、僕が受け入れないだなんてそんなことない」
「……あなたは」
「ん」
「あなたは愚かね。そんな……心にもないことを。優しすぎる。……いえ、残酷にすぎる。私のことを傷付けないように? 気遣ったつもりなのかしら? それは却って酷というもの。……いいのよ、嘘なんて吐かなくて。私は……」
「オルタ」
「……」
「嘘なんかじゃない。本当。心からの本当だよ」
「……嘘よ。私を受け入れるなんてありえません。私を……他に数多の相手が居る中で、こんな私を選ぶだなんて……そんなのはありえない。それこそ愚か。嘘を吐いて叶うはずもない希望を抱かせることよりも、むしろずっと愚かです」
「ならきっとそうなんだね。僕はきっと愚かなんだ。君のことを受け入れたいと望む僕は、きっと」
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