264: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:42:33.91 ID:YcDGP+Tn0
赤信号で車が止まる。千鶴はそっと視線だけを男へ向けてその顔色を窺った。
血色が良いとは言えない肌、心なしかこけたようにも見える頬、眼のふちには睡眠不足からできるくま。
265: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:43:57.69 ID:YcDGP+Tn0
===
「それじゃあ千鶴さん、また明日」
「ええ、ごきげんよう。……また明日」
266: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:45:25.80 ID:YcDGP+Tn0
狭い玄関で靴を脱ぎ、暗がりの中手探りで電気のスイッチを入れた。
そうして明かりに照らし出された室内はみすぼらしいとまでは言えないが、
それでも庶民的な雰囲気からは到底脱することもできず。
267: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:46:30.07 ID:YcDGP+Tn0
そんな千鶴が一人暮らしを始めたのは彼女が大学に通い始めてから。
アイドルにスカウトされたのも大学における学園祭、そこで開かれたミスコンで優勝したのがきっかけだった。
今では学業と仕事の二足わらじ。家に帰れば服装もラフに、作り置きしていたおかずをチンすると、
268: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/22(日) 08:48:04.19 ID:YcDGP+Tn0
一幕おしまい。ところで、書いてる途中で千鶴さんが実家住まいっぽいことに気づいてしまったのは内緒
269:名無しNIPPER[sage]
2018/04/23(月) 22:59:28.71 ID:AwuyDprL0
乙です。千鶴さんはまだ明かされてないコンプレックスありそうで好き
270:名無しNIPPER[sage]
2018/04/24(火) 21:52:41.68 ID:/0oo9mbKo
病んでるPを千鶴さんは癒せるのかねぇ
乙
271: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/30(月) 12:55:32.55 ID:DgOgOi+x0
そして、その度にこのみは毒づくのだ。
顔には笑顔を浮かべたまま、心の中では唾を吐く。
「ええ、ええ、そうでしょうとも。学生ねぇ……小学生とか、その辺でしょ?」
272: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/30(月) 12:57:36.43 ID:DgOgOi+x0
男は椅子に座ったままで伸びをすると、掛けてあった黒のジャケットに袖を通し、
組んでいた痩せ気味の足を解いてからやにわに立ち上がった。
「んじゃ、そろそろ出掛けてくらぁ。律子、留守番よろしくさん」
273: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/04/30(月) 12:58:50.70 ID:DgOgOi+x0
「オンボロめ! 久々に直ったと思えばまーた故障してらぁ」
仕方がないので階段を使って一階へ。途中、買い物に出ていた事務の女性とバッタリ遭遇した高木は、
「丁度良かった」と彼女から、差し入れの缶コーヒーを手渡された。
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